入洞者1万5000突破 上有住の滝観洞 新施設オープンから半年で

▲ 入洞1万5000人を祝ってくす玉割りなどが行われた

 住田町上有住の観光地・滝観洞の入洞者が3日、滝観洞観光センター新築オープンの4月から数えて、1万5000人を突破した。東日本大震災後としては同期間で最多の人数。同センターのリニューアル効果もあって、入洞者は毎月1000~5000人台で推移。同センターでは来年度以降のにぎわい持続に向けて、引き続きPRに力を入れていく。(清水辰彦)

 

 新築オープンから1万5000人目の入洞者となったのは、東京都渋谷区から訪れた福西純也さん(34)、果澄さん(31)夫妻。連休を利用して大船渡市などを訪れており、インターネットで滝観洞を見つけて訪問。施設前でセレモニーが開かれ、他の入洞者も1万5000人突破を祝福。夫妻には、滝観洞グッズなどの記念品が贈呈された。
 果澄さんは「半年で1万5000人を達成したということで、素晴らしい所なんだと思う」と、純也さんは「記念すべき日に来ることができてよかった」と話し、その後の洞内探検も存分に楽しんだ。
 滝観洞は全長3635㍍、高低差115㍍におよぶ国内屈指の鍾乳洞で、洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。洞口から約880㍍地点には高さ約60㍍に及ぶドーム型の空間があり、その天井部の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が注ぐ。昭和41年に洞窟開きが行われて以来、滝観洞観光センターとともに、町が誇る観光資源として広く親しまれている。
 滝観洞周辺は、道幅が狭くカーブが連続するなど長らく交通の難所とされてきたが、平成20年に釜石花巻道路の「滝観洞インターチェンジ(IC)」が供用開始。この効果も手伝って、同年~22年の年間入洞者は1万人以上で推移した。
 東日本大震災以降は4桁台に落ち込んだが、31年3月には釜石花巻道路が全線開通して三陸沿岸道路とも接続し、内陸部だけでなく気仙両市からのアクセスも向上。令和元年の入洞者は1万1157人と伸びたが、コロナ禍の影響によって2年から4年までは1万人を大きく割り込んだ。5年は新型ウイルスの5類移行もあって、入洞者が前年を1600人ほど上回る約9800人まで回復した。
 この間、観光センター老朽化に伴い、町では再整備計画案を令和2年度に作成。3年度に新施設の基本設計・実施設計が行われ、4年度に旧受付棟の解体が完了。昨年、新施設の工事が着工し、今年4月27日に待望のリニューアルオープンを果たした。
 新施設は地場産の木材を積極的に使用し、2階建ての施設の1階には物販スペースや受付カウンターなど、2階には食堂や滝観洞の名物「滝流しそば」の体験スペース、テラスを整備。トイレは男・女に加え、オールジェンダー用も設けられている。
 新施設は、住田観光開発㈱が指定管理。同社によると、施設完成後は積極的な発信の成果もあって県内外、国外から多くの観光客が足を運んでいる。県と市町村、観光関係団体などで組織する「いわて観光キャンペーン推進協議会」(会長・達増拓也知事)がJR東日本の重点販売地域の指定を受けて展開している「いわて秋季観光キャンペーン」によって滝観洞がPRされていることもあって、首都圏からの来訪も多い。
 1月からの通年累計では約1万6000人が入洞しており、住田観光開発の千葉孝文専務は「今後もさまざまなところと協力しながら、広域連携によって周知を図り、より多くのお客さんに楽しんでもらえるようにしたい」と、さらなる誘客へと意欲を見せている。