林業振興に期待込め 町への寄付11年目 大東建託、今年は96万円 累計額1100万円超に
令和6年11月6日付 7面
賃貸アパートやマンションをはじめとした建設業務を全国的に展開する大東建託㈱(本社・東京都、竹内啓社長)は5日、住田町に約96万円を寄付した。同社からの寄付金を財源に、同町では平成26年度から町有林でスギ苗を育てている。寄付は今年で11年目となり、関係者は木材利用の協業などによるさらなる林業振興に期待を込めた。(清水辰彦)
役場町民ホールで行われた受領式には、同社執行役員で設計統括部長の竹中郁裕氏、技術開発部の加藤富美夫部長、神田謙一町長、小向正悟副町長、けせんプレカット事業協同組合(世田米)の泉田十太郎理事長らが出席。竹中執行役員が神田町長に寄付金の目録を手渡した。
受領式の会場には、これまでの植栽箇所の写真をパネルで展示。関係者が写真を眺めながら、スギの順調な生育を願うとともに、豊かな森林づくりへの思いを新たにした。
同社グループはこれまで、国産材活用の一環で住田町産材を積極的に活用。けせんプレカットと協業して気仙スギを賃貸住宅用の住宅部材として使用しているほか、「森林・林業日本一のまちづくり」を目指す同町への支援活動も展開。持続的な林業経営の推進と民間企業による社会貢献、木材産地とハウスメーカーの連携モデル創出などを見据え、平成26年から「住田町・大東建託 協働の森」事業を実施し、同社からの寄付金をもとにスギ苗が植栽されている。
今年は96万円が寄付され、世田米地内の森林の下刈り、再造林と食害防止ツリーシェルターの設置に充てられる。
受領式で竹中執行役員は「地域、地球環境への貢献は今後もしっかりとやらせていただき、住田町とも協力してよりよい未来になるよう努力していきたい」と協業継続へ意欲をみせた。
神田町長は同社へ感謝を示しながら「昨今、カーボンニュートラルや脱炭素が社会的なキーワードとなっており、将来、子どもたちが生きていく環境づくりに取り組むことが喫緊の課題となっている」と森林の重要性を述べたうえで、「環境改善、未来のための森林づくりに一緒に取り組んでいただいており、こうした取り組みを直接林業に関係しない方々にもご理解いただき、幸せを享受する社会に向かっていきたい」と述べた。
同社では令和5年に創業50周年の節目を迎えたことから、同年の寄付を50周年プロジェクトの一環にも位置づけ、同社と同社協力会、50周年プロジェクトで100万円ずつの計300万円を寄付し、町への累計寄付額が1000万円を突破。
本年度分を含めた寄付金総額は1164万7881円で、町内15事業区で植栽が行われている。
毎年、寄付を贈っているつながりから、昨年は同社やグループ会社、協力企業の社員、その家族らが町内を訪問して植林体験も実施。参加した約50人が世田米地内の山林にスギ苗を植え、順調な生育と将来の豊かな森林へ願いを込めた。
また、同社ではこうした縁もあり、環境負荷の少ない木造賃貸集合住宅を供給し続けるためには住田の林業振興への支援と、その担い手となる人材が集まるまちづくりが不可欠とし、昨年度、毎年の寄付とは別に、同町に企業版ふるさと納税として5000万円を寄付した。