震災や林業へ学び深める NECの若手社員がワーケーション

▲ イコウェルすみたで住田町側の出席者と意見を交わす若手社員ら

 NEC(本社・東京都港区、森田隆之社長)の社員が10月30日から今月1日にかけて、住田町内で「ワーク」と「バケーション」を掛け合わせた「ワーケーション」に臨んだ。住田での暮らしを体験しながら、東日本大震災や同町の基幹産業である林業などへの学びを深めた。
 今回の訪問は、東京都港区が展開する「連携自治体ワーケーション促進事業」の一環。同事業は区内の事業者と全国各地域をつなぎ、それぞれが抱えている課題の解決や新たなビジネスマッチングの創出を目指すもので、住田町も連携自治体となっている。
 今回、ワーケーションに参加したのは同社レジリエンス事業部門のレジリエンス営業統括部、同DX統括部の若手社員ら8人。同部門では消防、防災関係の事業も手がけており、港区の連携自治体の中では住田町が唯一、東日本大震災についてのプログラムが盛り込まれていることから訪問先に選定。同町で関係人口創出のコーディネートなどを担う「おとりもち」(植田敦代代表)が受け入れを担った。
 一行は、世田米のイコウェルすみたのオフィス棟での通常業務に加え、初日は町内の苗木生産業者の作業場などを見学し、2日目は陸前高田市に足を運んで東日本大震災津波伝承館や奇跡の一本松で震災について学んだ。
 最終日は、イコウェルすみたを会場に住田での学びを振り返るとともに、プログラムのさらなる充実へ、町職員らと意見交換した。
 この中で、木造仮設住宅の部材も活用して整備されたイコウェルすみたでの業務について「木の温かみがあり、普段のオフィスよりリラックスして仕事ができた」「休憩時間にクッブを体験したり、外に出て自然を感じることでメリハリをつけ集中して仕事に打ち込むことができた」といった感想が聞かれた。
 学びに関しては、東日本大震災津波伝承館や、震災時の町の後方支援活動などを紹介しているイコウェルの展示棟の見学を通して、「震災を経験した自治体での課題や防災策について知ることができた」との声が上がったほか、町の防災担当者とも今後の災害対応や平時の備えについて意見を交わした。
 レジリエンス営業統括部の渡邉優希さん(25)は、業務では防災行政無線の機器なども取り扱っているといい、震災について学ぶ中で「実際に現地に来ることで、改めて被害の甚大さを実感した。スマートフォンの普及により、全国では防災行政無線を無くそうという自治体もあるが、災害時は屋外からの発信も重要になるということを感じた」と振り返った。