「現場の思い」対話から 分野別グループインタビューが終了 8年度からの後期基本計画反映へ

▲ 移住者を対象としたグループインタビュー

 大船渡市による市総合計画後期基本計画策定に向けたグループインタビューは、7日で全日程を終了した。最終日は市民活動関係者や移住者を対象にそれぞれ実施し、渕上清市長らを交えた車座での対話を通じて、活動現場などで日頃感じている悩みや将来像を語った。市は参加者の発言を今後の策定業務に生かすほか、今後も同様のインタビュー機会をつくり、さまざまな分野に関わる人々の声に耳を傾けることにしている。(佐藤 壮)


 市総合計画後期基本計画の期間は、令和8年度から5年間。グループインタビューは、市民ニーズやまちづくりへの意見・提言を把握し、今後の策定作業に反映させようと10月上旬に始まった。これまで高校生、高齢者、子育て関係者、商工業者・観光関係者、農林水産業者らに実施した。
 7日は大船渡町のおおふなぽーとを会場とし、市民活動関係者と移住者向けに実施。進行や発言の調整は、㈱邑計画事務所=盛岡市=の及川一輝取締役らが務め、輪になって顔を合わせる車座形式で行われた。いずれも特定のテーマは設けず、参加者が日頃感じている思いや困りごとを話し、渕上市長がコメントや質問を寄せた。
 市民活動関係では、健康づくりや地域活動、住民支援などを担う各種団体の関係者ら7人が参加。人口減や少子高齢化が進行する中での活動実態などを伝え合った。
 これまでのグループインタビューや各地で開催されている市政懇談会と同様、移動手段の確保が話題に。生きがいづくりにつながる活動にも影響が及び、高齢者の引きこもりや活動自体の活気低下に懸念を寄せる発言が寄せられた。
 また、資金確保に関しては「少額でも、長い年度で助成が受けられる補助金を」といった声も。小中学校の活動で地域住民から指導を受けたり、郷土芸能を学ぶあり方に関しても意見を交わした。
 発言を重ねる中で、各種団体が連携する重要性も浮き彫りに。さまざまな支援や催しがあるが、「高齢者は自らで情報をキャッチしていく力も弱くなっていく。そこにどう情報を届けていくかも課題」といった広報面の指摘も寄せられた。
 一方、移住者対象のインタビューには6人が出席。住まいの確保や魅力の発信などについて意見を交わした。
 住宅に関しては助成充実を望む声が多く出たほか、空き家利用を巡り出席者の一人は「地域に入れば『仏壇や家具はあるけど、そのまま住んでもいいよ』という声もある。マッチングをつなぐ組織があれば」と提言。産業面では、総合計画に登載している内容の事業を新たに展開する際の補助充実を求める要望が出た。
 市内の店舗によっては、県外から多くの人々が訪れて〝目的地化〟している半面、滞在・周遊の課題を指摘する意見も。景色を魅力に挙げる出席者が多かった中、渕上市長も「樹木の成長によって見晴らしが悪くなっている現状がある。ビュースポットはつくっていきたい」と述べた。
 このほか「釣りに来る方が多い。『釣り公園』のような、身近にできる場所の整備はどうか」「道の駅施設がまちなかにほしい」「魚市場の『見せる化』の充実を」など、他分野のグループインタビューでは聞かれなかった提言もあった。
 他自治体と比較しながら「大船渡は沿岸の魅力が味わえつつ、いろいろな施設もある。〝来たもの〟同士のコミュニティーも非常に大切。もっと地域おこし協力隊が増えてくれれば」と望む出席者も。Uターン希望者の受け皿といった観点でも、地元事業所が隊員を受け入れる「団体委託型」がさらに広がるよう期待を寄せる出席者も見られた。
 終了後、渕上市長は「率直な意見をいただき、具体的な提案もあった。もっと大船渡の魅力を発信できると感じた。今回に限らず、こうしたミーティングの頻度を上げていきたい」と話していた。