大船渡が本州トップに 全さんま10月末集計 数量、金額とも前年超える

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和5年・6年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。10月31日現在、大船渡市魚市場に水揚げされた数量は3665㌧(前年同期比1023㌧増)、金額は18億9567万円(同5億6334万円増)といずれも前年を上回り、北海道の花咲に続く全国2位で本州ではトップ。中短期漁況予報では、今月から12月中旬にかけて三陸沖でも漁場形成がある見込みで、関係者はさらなる漁獲に期待を込める。(菅野弘大)


 全さんまの発表によると、同日現在の全国数量は前年同期比90%増の2万9344㌧。金額も同88%増の142億6899万円で、昨年の2倍近い実績で推移している。
 数量は北海道分が2万725㌧で、同1万1218㌧(118%)の大幅増。本州合計は8619㌧で、前年同期を2655㌧(45%)上回った。
 本県においては、大船渡、釜石、宮古の3港で数量4463㌧(前年比1559㌧増)。大船渡が80%以上を占め、大型船を所有する地元企業やサンマを取り扱う水産加工業者の強みを生かして数量、金額ともに本州トップを維持する。本州の数量に占める割合は約43%、1㌔当たりの単価は517円と、前年並みとなった。
 水揚げの漁船数は全国で915隻と、前年同期の1044隻から129隻(12%)減少。大船渡は72隻(前年124隻)とほぼ半減したが、1度の航行で多くの魚を漁獲できていることが分かる。
 今季のサンマ漁は、公海に限り例年よりも早い8月10日に解禁。大船渡への初水揚げは同23日で、同月中に100㌧を超えると、9月下旬からコンスタントに100㌧超えが相次いだ。10月に入るとさらにペースアップし、同下旬には300㌧超えを含む連日の水揚げがあった。今月も2日に300㌧、5日に256㌧と上積みしている。
 全国的に昨年を上回る水揚げが続いている要因について、全さんまでは、サンマの分布が西側(日本寄り)で、例年よりも漁場との往復距離が短くなったことなどを挙げ「良い要素が重なった」と分析。漁獲枠の関係で、外国船が漁を打ち切ったことも要因の一つと考えられるという。
 しかし、全さんまの大石浩平専務理事は「近年の水揚げ量からすれば、今年は増加傾向にあるが、資源が回復しているわけではなく、手放しで喜べる状況ではない」との見方を示し、「11月に入ってから、サンマがどこにいるか分からず、取れないといった声があったり、しけで操業が止まっているところもある。来年以降の状況は分からないが、今年の漁獲増が今後につながっていくことを願う」と話した。
 一般社団法人漁業情報サービスセンターによる本年度第6回サンマ中短期漁況予報(11月上旬~12月中旬)によると、三陸海域においては、今月上旬から中旬にかけ、量は少ないものの断続的な来遊がある見込み。11月下旬~12月上旬は低位水準となる。12月中旬は再び断続的になる見通し。12月中旬までの期間は、三陸南部沖合に散発的に漁場が形成される予報となっている。
 全さんまがまとめた実績は別掲。