支えへの感謝伝える 末崎中生が地域交流会 閉校記念行事の一環で(別写真あり)
令和6年11月14日付 1面
大船渡市立末崎中学校(佐々木伸一校長、生徒71人)は13日、末崎町のふるさとセンターで地域交流会「どうもどうも♡」を開催した。来年度に大船渡中と統合し、本年度で閉校となる末崎中の生徒らが、町民らの協力を得て取り組んできた防災学習の成果発表のほか、伝統の末中ソーラン、校歌等の合唱披露、生徒が生産を手がけたふれあいワカメの販売を通して、学校生活を支えてくれた地域への感謝を伝えるとともに、閉校に向けた各種活動の様子を発信する機会とした。
同校は、学校統合に伴い、本年度で約78年の校史に幕を下ろす。交流会は、閉校を前にお世話になっている地域の方々に感謝を伝えることに加え、東日本大震災の経験をもとにした防災学習の成果を地域と共有し、まち全体での防災意識を高めることにつなげようと企画。3年生26人が中心となり、全校で準備を進めてきた。
保護者や地域住民ら約70人が来場。開会に先立ち、2年生とともにワカメ養殖学習に取り組んだ1年生26人による販売会が開かれ、多くの住民が地元の味を買い求め、にぎわいを見せた。
交流会は、伝統の末中ソーランで開幕。生徒らがそろいのはんてん姿で歴史の深い勇壮な舞を披露した。
弁論発表に続き、3年生が取り組んできた防災学習の成果を発表。「助けられる人から助ける人へ」とテーマを掲げ、「防災」「伝承」各グループに分かれた生徒らが、地域公民館長らの協力のもとで制作した町内のハザードマップのほか、子どもたちに震災の教訓を伝えようと作った防災すごろく、伝承かるたを紹介し、学習を通じて得られた学びを胸に刻みながら、今後の活用に期待を込めた。地元の大和田恵美子さん(78)=西舘=が自身の震災体験談をもとに制作した紙芝居『ワンコとともに救われた命』の上演も行われ、防災意識高揚に一役買った。
3年生らは最後に、『あさがお』『ふるさと』の2曲を合唱。校歌斉唱では、来場した住民らと一緒に歌声を重ね合わせ、地域に愛される母校の閉校を惜しみながら、末崎中生として生活する残りの時間を大切にする決意も新たにした。
来場した同校卒業生の及川宗夫さん(74)は「本当に感動したし、これほど校歌をかみしめて歌ったことはなかった。少ない人数だが、子どもたち同士の絆はとても強いと思う。古里を思う気持ちを持って、これからも頑張ってほしい」とエールを送った。
前生徒会長の村上奈央さん(3年)は「1年生の頃から積み重ねてきた学習、ソーランや合唱などを地域の方々に伝えられてうれしかった。閉校の悲しさもあるけど、生徒一人一人の色で学校生活を彩ることができるように、全力で残りの期間を過ごしたい」と話していた。