大船渡温泉 絶景部門で4連覇達成 「温泉宿・ホテル総選挙」で快挙 地元の協力広がり支持拡大
令和6年11月15日付 7面

インターネットによる「温泉宿・ホテル総選挙2024」で、大船渡市の㈱海楽荘(志田豊繁代表取締役)が運営する大船渡町の大船渡温泉が、絶景部門で1位に輝いた。宿泊客や地元住民向けに地道なアピールを展開し、4年連続の快挙を達成。関係者は「選ばれた景色は大船渡の財産」と語り、日本一の称号を生かした地域全体の観光振興に加え、今後の連覇継続に意欲を見せている。(佐藤 壮)
この投票は、官民一体となった観光促進活動を支援する「旅して日本プロジェクト」が主催。温泉地や名産・名所等をプロモーションし、多くの人々に足を運んでもらおうと、平成28年度から「温泉総選挙」を実施してきた。3年前から、温泉がある宿・ホテルを応援する「温泉宿・ホテル総選挙」が行われている。
今年は全国の温泉を持つ宿・ホテル97施設が参加し、料理自慢や絶景、おもてなし、泉質自慢など13部門に分かれて実施。絶景部門には最多の26施設がエントリーした。
昨年までは1人が連日1施設に応援投票できたが、今年は最大2回となった。通常のウェブ投票に加え、宿泊先に行かないと分からない暗証番号が必要な「現地投票」の各1票のルール。期間は8月9日~今月1日で、計1万人以上の〝温泉好き〟らが1票を投じた。
特定のファンだけでなく、より広い〝支持〟が求められた中、大船渡温泉ではスタッフによる「選挙対策委員会」を立ち上げ、地道な活動を展開。チェックイン、チェックアウト時の宿泊客に対する丁寧な声がけに加え、地元事業所の協力を得てポスターを張り、地域住民らのエールも集めた。大船渡出身者の賛同も広がった。
これまでと同様、日の出時間を施設内に貼り出すといったサービスに加え、ガラス窓をきれいに保つ心がけにも注力。稜線や水平線からの日の出だけでなく、ゆっくりと船が航行するのどかな光景や、月光が海面に伸びる夜景の美しさでも魅了する。
大船渡温泉は東日本大震災の発生から3年後の平成26年にオープン。避難生活者や復興支援で訪れる人にゆったりと過ごしてほしいとの思いから整備した。大船渡湾の眺望や魚介類を生かした食事などの魅力に磨きをかけ、今では国内外から観光客が訪れる人気施設となっている。
同委員会の委員長を務めた近藤千賀子営業部長は「大船渡の美しさを全国にPRする理解が広がり、ポスターやチラシの依頼には、快く引き受けてくれる事業所が多かった」と感謝を込める。そのうえで「もっと景色の素晴らしさを知っていただきたい。これからも『ここに来れば元気になる場所』になるよう頑張りたい」と決意を込める。
結果が周知されることで、市内全体の宿泊者増や認知度向上など、周辺施設への波及効果も期待される。志田繕隆支配人は「1位になることで、地域の方々の郷土愛醸成にもつながると思う。確実に景色の良さが浸透している手ごたえはあるが、全国で『絶景といえば大船渡』が定着するよう、連覇を目指したい」と話している。