親子に定着 新たな広がりも サン・リア内の市こども家庭センター「DACCO」 子育て充実に向け市が整備 4カ月で2万人超が利用(別写真あり)
令和6年11月15日付 1面

大船渡市がサン・リア内に整備したこども家庭センター「DACCO(だっこ)」は、利用開始から4カ月が経過した。多様な遊具を備えた屋内公園機能を持つ交流広場は、悪天候時にも快適に過ごせるとあって市内外から親子らが訪れ、利用者は2万人を突破。各種イベントでの活用も増えつつある。少子化が進む中、中心市街地にある立地環境を生かした子育て支援充実やにぎわい創出など、さらなる期待が高まる。(佐藤 壮)
9日午前、センター内の交流広場では、4世代が楽しむ光景が見られた。大船渡町の佐藤孝太郎さん(88)に加え、娘で宮城県仙台市在住の浅野八枝子さん(59)と孫の彩さん(30)、ひ孫の朔玖ちゃん(1歳4カ月)が訪れた。歩くようになった朔玖ちゃんが、すべり台などの遊具に手を伸ばすと、孝太郎さんが目を細めた。
「いつか連れてきたいと思っていた。大船渡に呼んだり、サン・リアに足を運ぶきっかけにもなる」と孝太郎さんは話す。彩さんは「広々としているし、遊ばせやすい」と語り、笑顔を見せた。
小さな玩具がそろうスペースで過ごしていたのは、仙台市在住の千葉理真さん(32)と、娘の凪紗ちゃん(2)。理真さんの里帰り出産のため、7月から大船渡市内に滞在。凪紗ちゃんは祖母らとともに訪れることもあり、気に入ったおもちゃを手にして夢中になっていた。
理真さんは「夏は暑かったので、この場所がちょうどよかった。子どもも来るのを楽しみにしているし、のびのび過ごしている」と話す。
13日午前には、市による妊婦や乳幼児を育てる母親ら対象の「ほっとカフェ」が開催された。親子6組が参加し、母親同士での会話が弾み、和やかな雰囲気が広がった。
盛町在住の門間春香さん(37)は、市保健センターで開催されていた4月以来の参加。当時は妊婦だったが、この日は6月に出産した才佳ちゃんとともに来訪した。「普段は2人きりの時間が多い。外に出て、大人と語り、同じ月齢の親子と交流できた」と話し、笑顔を見せた。
市こども家庭センターは、子ども・子育て支援の強化が求められる中、行政機能と交流機能を併せ持つ施設として7月14日に利用が始まり、今月10日現在の来場者は2万2300人。市は当初、年間で1万人程度の来場を見込んでいたが、大幅に上回るペースで推移している。
平日でも100人を超える日があり、屋外の公園でも過ごしやすい秋に入っても安定的な利用が続く。子育て世代のネットワークから評判が広まり、市外からの来訪も目立つという。交流広場のスペースを生かし、市以外の団体がイベントを企画する動きも出ている。
広場向かいにある事務室(行政窓口)では、これまで市役所や保健センターで行ってきた子ども・子育てに関する手続きや相談に対応。個室も確保している。特に子育てに関する相談は一体化されたメリットを生かし、スムーズな対応につながっているという。
伊勢徳雄センター長は「お父さん、お母さん同士が知り合いになるなど、いい流れができている」と手ごたえを示す。開設後も、情報発信に向けたデジタルサイネージの導入や、絵本コーナー設置など改善を重ねており「今後も利用者の意見を聞き、更新・見直しをかけたい」と話す。
市は9月、「こどもまんなか応援サポーター」として、子育てにやさしいまちの実現に向けた取り組みの推進を県内他市町村に先駆けて宣言。さらに、令和7年度に向けた行政経営方針でも、子ども・子育て支援の充実を重点施策に据える。市民からは子育て世帯の経済負担軽減に向けた大胆な施策を求める声もあり、今後のさらなる支援充実に向けた取り組みの行方が注目される。