共同生活送りながら学校へ 野活が初の「通学宿泊合宿」 〝ノーメディア〟環境下で実施 広田小6年生がきょうまで (別写真あり)

▲ 野活で初の通学宿泊合宿が行われ、学習時間に宿題や課題に取り組む児童たち

 陸前高田市広田町の県立野外活動センター(高橋弘寿所長)は17日から20日まで、初企画の「通学宿泊合宿」を行っている。子どもたちが3泊4日の日程で同センターに宿泊し、共同生活を送りながら通学をするもので、希望する地元の広田小学校6年生20人が参加。センター内では、ゲーム機やスマートフォンなどから離れる〝ノーメディア〟の環境下、学習、体験活動を中心とした規則的な生活を送っており、同センターでは保護者や学校の理解を得ながら対象の拡大を図っていきたい考えだ。(三浦佳恵)

 

 通学宿泊合宿は、子どもたちに日常の家庭生活と切り離した環境での共同生活や体験・学習活動を通じ、基本的な生活習慣の向上を図ってもらおうと企画。県内では、金ケ崎町の県南青少年の家で事例がある。
 東日本大震災で気仙町にあった県立高田松原野外活動センターが全壊したため、広田町内に移転新築し、令和3年度に開所した県立野外活動センター。近所に広田小があり、5年生が宿泊研修を行っており、主催事業への参加などで施設を利用する児童も多い。
 同センターでは本年度、小学校側に合宿の実施を提案。検討を重ね、宿泊研修や修学旅行を経験し、来年春には中学校に進学する6年生を対象に、学習活動を中心とした形での開催を決めた。
 参加は任意とし、放課後のスポーツ少年団活動や習い事は優先できるように対応。ノーメディアでの実施に賛同する保護者も多く、6年生の9割近くが参加した。
 合宿は17日午後に開講。期間中、センターでの生活は学習や夕食、入浴などが毎日同じ時間に設定されており、児童らは午前6時に起床し、午後9時30分に就寝する規則正しい生活を実践。小学校には参加者全員で集団登校をしている。
 このうち、2日目の18日は児童らが普段通りに授業を終え、午後3時ごろ下校。おやつを食べたあとは1時間の自由時間が設けられ、子どもたちは体育館で遊んで体を動かしたり、自主学習に取り組むなどした。
 4時30分から1時間は学習時間に入り、子どもたちは宿題や自ら立てた課題をこなした。この日は教員であるセンター指導員をはじめ、合宿の視察に訪れた県教委生涯学習文化財課の職員らが分からないところなどを教え、音読の宿題では一人一人に対応した。
 指導員らとも打ち解け、合宿生活になじんできた様子の児童たち。臼井厚葵(あつき)さんは「勉強は嫌いだけど、いつもの宿題に比べれば楽しい。ゲームはできないけど、その分みんなで遊べる。参加してよかった」と、熊谷美玖(みく)さんは「メディアから離れるから朝はすっきり起きられるし、みんなと話す機会が増えて楽しい。普段話すことが少ない人ともコミュニケーションがとれていい」と話し、充実した表情を見せた。
 夕食後には、日替わりでレクリエーションや面白実験教室、ニュースポーツ体験といったお楽しみの時間も設定。学校や家庭とは異なる環境の中、クラスメート同士の交流を一層深める機会にもなっている。
 高橋所長は「学校終わりから家庭などでの学びをつなげることが合宿の狙い。こうした学びの連続性を定着させ、将来的には小学校からスムーズに中学校へ学びの移行ができるよう、中学校区を対象に広げていきたい」と、今後を見据える。
 最終日の20日は下校後の学習や合宿の振り返り、閉講式を予定している。