前年超え5000㌧到達 20日時点の市魚市場サンマ水揚げ実績 三陸海域での漁獲も続く
令和6年11月21日付 1面
大船渡市魚市場におけるサンマの水揚げ実績は20日現在、数量が5295㌧、金額(税込み)が25億770万円で、昨年度の実績を突破した。5000㌧台到達は、令和2年度以来。漁期も終盤にさしかかる中、大船渡に近い三陸海域での漁獲が続いており、関係者は〝ラストスパート〟に期待を込める。(菅野弘大)
市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)によると、20日現在の累計数量は、前年同期比2300㌧(77%)増、金額は同10億6238万円(70%)増とそれぞれ大幅に上回った。
今季のサンマ漁は、公海に限り例年よりも早い8月10日に解禁。大船渡への初水揚げは同23日で、8月の累計は161㌧、9月は同1096㌧と、8、9月累計で1000㌧を超えた。
10月に入るとさらにペースアップ。水揚げが300㌧に達する日も相次ぎ、10月末時点で3665㌧と、前年度累計3877㌧まで約200㌧と迫った。
今月も初旬から166㌧、300㌧、256㌧と数量がまとまり、順調に上積みを重ねた。さらに、本州に近い三陸沖にも漁場の形成があり、気仙沿岸の定置網にもサンマが入る日があったほか、16日には大型船を中心に16隻が入港するなど、1隻当たりの漁獲量は多くないものの、北海道から東に遠く離れた公海と比べて漁場が近くなったことで、鮮度の良いサンマを短い航行時間で届けられるようになった。
全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)が発表した令和5年・6年の対比サンマ水揚げ状況(10月末時点)によると、数量は北海道の花咲港に次いで、大船渡が全国2位で本州トップを堅持。全さんまでは、全国的に昨年を上回る漁獲量となっている要因について、サンマの分布が日本寄りで、例年よりも漁場との往復距離が短くなったことや、漁獲枠の関係で外国船が漁を早めに切り上げたことなどを挙げ、「良い要素が重なった」とするものの、資源量が回復しているわけではないため、昨年を上回ってはいるが、「豊漁という見方はしていない」としている。
令和に入り、年間累計数量は1万㌧台を割り込む状況が続く。元年と2年はいずれも6000㌧台前半で、3年は平成以降で最低の2471㌧にとどまった。4年と5年は3000㌧台とやや回復したが、変わらず低水準の様相を呈している。
一般社団法人・漁業情報サービスセンターが発表した本年度第8回サンマ中短期漁況予報(11月下旬~12月下旬)によると、道東海域では11月下旬の来遊量は減少し、12月上旬は断続的な来遊となり、終漁に向かう。多くの魚群は道東海域よりも東~南側を南下する。
三陸海域への来遊は低位水準で推移し、12月中、下旬は断続的。漁場は、12月上旬にかけて三陸北、中部、同中旬は三陸中、南部に形成される見込みで、大船渡から近い海域での漁獲に期待がかかる。
大船渡魚市場の佐藤光男専務は「20日に水揚げされたサンマも、100~120㌘台が主体で、まだ取れる兆しがある。個人的にはしっかり数量が取れて6000㌧台に乗ってほしいが、今後どうなるか」と話している。