〝越境〟で学び深める あすまでラーニングワーケーション 首都圏や愛知、大阪の会社員
令和6年11月22日付 7面

住田町内で20日から23日(土)まで、学習(ラーニング)と休暇(バケーション)の要素を兼ね備えた働き方(ワーク)で企業と地域がつながり、その地域ならではの体験を深める「ラーニングワーケーション」ツアーが行われている。県外からの参加者が町内各地を巡り、各分野で活躍する地元民らとの交流を通して地方ならではの価値観に触れながら、今後の業務に生かそうと学びを深めている。(清水辰彦)
ツアーは、関係人口創出のコーディネートなどを担う「おとりもち」を個人事業主として営む植田敦代さん=世田米=が受け入れ。
全国的に人口減少が進行する中、各地で関係人口の創出が注目を浴びており、おとりもちでは令和3年、人材育成支援、出版事業などを展開する㈱日本能率協会マネジメントセンターのアドバイスを受けながらラーニングワーケーション希望者に提供する同町でのプログラムを考案し、同12月にモニターツアーを実施。モニターツアー参加者からの意見を反映させたうえで、4年から本格的なツアーを展開している。ラーニングワーケーションは、モニターツアーを含め今回で5回目となる。
今回のツアーには、首都圏や大阪府、愛知県から30代~50代の会社員6人が参加。初日は、世田米の応急仮設住宅本町団地の跡地に整備された「仕事と学び複合施設」(イコウェルすみた)を訪問。施設を管理する町地域プロジェクトマネージャーの関博充さんから、東日本大震災と住田町についての講義を聞いた。
この中で関さんは、町がいち早く独自に木造の応急仮設住宅を建設して被災者を受け入れたことや、そのレガシーを残して、町内外の人材交流による移住・定住を促進しようと仮設跡地にイコウェルを整備したこと、完成後は幅広く活用され、新たなつながりが生まれていることなどを解説した。
施設見学後は町民とのトークセッションを実施。震災発生後に仮設住宅住民向けの生活支援相談員を務めた経験のある町社会福祉協議会の畠山朋也さん=世田米=と関さんの2人が、震災後の活動や住田への思いを紹介し、参加者と語り合った。
21日は読書会などのほか、町内の苗木生産業者を訪問して杉林も見学。22日は地元学童クラブで出前授業を行い、子どもたちと交流する。最終日の23日は、イコウェルすみたで全体の振り返りを予定している。
参加者の一人で、造船会社・ジャパンマリンユナイテッド㈱(本社・神奈川県)に勤務する鬼丸裕美さん(44)は「企業の仕事は、地域の理解・協力がないと成り立たない。住田町はいろんなつながりを大切にしていると聞いている。住田の取り組みを、仕事に生かせれば」と語り、東日本大震災についても学ぶことで「いつか災害が来た時に自分に何ができるかというのも考えていきたい」と防災の学びにも意欲を見せる。