東高が学校部門2位の優良賞 県ふるさと食品コンクール 阿部長商店は特別賞に
令和6年11月23日付 7面

県による「岩手ぅんめえ~もん!!グランプリ2024(令和6年度県ふるさと食品コンクール)」の表彰がこのほど行われ、気仙からは大船渡市の県立大船渡東高校(宇夫方聰校長)による「AzumaCake(アズマケーキ)」が学校部門で第2位となる優良賞を獲得。同市大船渡町の㈱阿部長商店大船渡食品(阿部泰浩代表取締役社長)が手がけた「三陸食堂真鱈子と野菜の旨煮」が特別賞のuNME~MON!!賞に選ばれた。いずれも地場産品を活用した良質な商品に仕上げ、高く評価された。(三浦佳恵)

阿部長商店大船渡食品の「三陸食堂真鱈子と野菜の旨煮」は特別賞に
コンクールは、県内の6次産業化や農商工連携を推進し、県産農林水産物の需要拡大を図ろうと毎年開催。県産農林水産物を利用した加工食品を対象としており、本年度は自ら生産した農林水産物を用いる「6次産業化部門」に9点、県産農林水産物を使った「農商工連携部門」に18点、「学校部門」に7点の計34点が出品され、審査で各賞を選出した。
優良賞に輝いた東高の「AzumaCake」は、農芸科学科食品製造専門部会の3年生5人が手がけた一品。同部会が製造した「若竹みそ」を練り込んだ生地に、陸前高田市が特産化を進めるピーカンナッツのキャラメリゼ(カラメルでコーティングしたもの)を入れて焼いたパウンドケーキで、甘塩っぱさの中にピーカンナッツの香ばしさとカラメルのほろ苦さを味わえる。
生徒らは前年度の3年生が開発したレシピをもとに研究を重ね、商品として大量生産ができる体制を確立。生地作りでは引き継いだレシピからベーキングパウダーを省き、丁寧にバターを練り込むことで、通常のパウンドケーキよりも〝みそケーキ〟に合う重みを出し、しっとりと仕上げた。
みそづくりから携わったケーキは、生徒たち自慢の一品に。入賞を受け、坂本笑美留さんは「1年間みんなで頑張ったきた成果。学校部門で1位を取れなかったのは残念だったが、素晴らしい結果が残せて良かった」と話していた。
6次産業化部門に応募した阿部長商店大船渡食品の「三陸食堂真鱈子と野菜の旨煮」は、〝岩手から世界に発信したい加工食品〟として特別賞「uNME~MON!!賞」に選ばれた。
この商品は、鍋物用などと商品や販路が限られていたマダラの卵を有効利用しようと、同社の本社がある宮城県気仙沼市の食文化や、マダラの卵とゴボウなどを炒めた料理「ごぼういり」をヒントに開発し、大船渡食品で製造している。一口大にカットしたマダラの卵とゴボウ、ニンジンを煮付け、ご飯のおかずや酒のつまみになる一品に仕上げた。
開発に当たった阿部長商店水産事業本部食品部の吉田良一部長(61)は「三陸食堂シリーズの中でも、上位に入るおいしさ」と太鼓判を押し、「特別賞は本当にありがたく、光栄なこと。地方においしいものがあるという情報が伝わり、インバウンドのきっかけになれば。今後も『食べておいしい』を大前提に、健康志向で子どもにも安心して食べてもらえるような商品をつくっていきたい」と誓う。