里山保全 環境省が評価 つむぎの家管理の31㌶ 自然共生サイトに認定(別写真あり)

▲ 大小迫つむぎの家が管理する里山が「自然共生サイト」に認定

 環境省はこのほど、大船渡市三陸町綾里の「大小迫つむぎの家」(千田耕基代表)が管理する里山約31㌶を、生物多様性の保全が図られている「自然共生サイト」に認定した。これまでの環境保護の活動が評価されるとともに、同団体は今後も自然を次世代に残す取り組みを続ける。
 政府は令和5年3月に新たな生物多様性国家戦略を閣議決定。令和12年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標を掲げた。
 その取り組みの一つとして、環境省では同年から年2回、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として認定。企業の森、里地里山、都市の緑地などが対象で、本年度前期までに県内では同所を含め5カ所、全国253カ所が認定された。
 大小迫つむぎの家は、平成22年に任意団体として設立され、私有地である小迫川流域一帯の里山を管理する。当初は荒れた里山だったが、同団体が樹木の間伐や、家畜の排せつ物などをたい肥に利用する農業などを行い、環境整備に努めた。現在は針葉樹や広葉樹の林が広がり、多くの動物が確認されている。
 また、水田では冬の間も水をためておく農法「冬水田んぼ」を実践。引水用のため池がビオトープの機能を果たし、は虫類や昆虫のほか、環境省レッドリストに掲載されている希少な動植物も生息する。
 環境問題について「日本は先進的に取り組んではいるが、それでも対応しきれていないのが現状」と語る千田代表。「里山の良さをより多くの方々と共有したい」という思いで同サイトに申請し、活動の成果が認められた。
 同団体は古民家を拠点に、地域の小学生を対象とした植樹体験などを開くほか、伝統的な干し柿づくりを行うなど、伝統文化の継承活動も積極的に展開。
 千田代表は「どこでも環境保護は共通の課題で、綾里も震災で失われた自然を戻し切れていない状況。里地里山の環境が激変する中で、子どもたちには自然と触れ合い、保護に関心を持ってほしい」と、次の世代へ訴える。