「としるの貝がら焼き」継承へ 大船渡東高食物文化科の3年生が調理技術習得 アワビ産地化へ来月のイベントで提供も(別写真あり)

▲ 樋口さん(左端)から指導を受けて「あわび肝の貝がら焼き」を完成させた生徒たち

 県立大船渡東高校(宇夫方聰校長、生徒211人)の食物文化科で「地域資源と食文化コース」を選択する3年生4人が、大船渡市内で漁獲・加工されるアワビの「としる」と呼ばれる肝を生かした「貝がら焼き」の調理技術を学んでいる。27日には、県が認定する「食の匠」のレシピを参考に、地域住民からアドバイスを受けながら実習。12月22日(日)に大船渡市魚市場で予定している「産直海鮮まつり」での提供を目指す。(佐藤 壮)

 

 「あわび肝の貝がら焼き」の調理実習に臨んだのは、いずれも3年生の大畑穂乃佳さん、佐藤春幸さん、菅野蓮さん、千田真聖さんの4人。講師には、三陸町越喜来の樋口圭子さん(71)を招いた。
 生徒たちは、同コースの活動で、地域食材を生かした調理技術向上に向けた学習・取り組みを展開。学校としても、復興庁の「新ハンズオン支援事業」を活用した、大船渡商工会議所による市内産アワビの魅力を発信する地域活性化事業の取り組みに参画している。
 肝や貝殻を生かした料理の継承は、「浜のまかない」として親しまれてきたものの広く知られていなかった郷土料理の〝掘り起こし〟につながる。
 実習では、市内事業者が冷凍加工したアワビの肝を使用。みそを塗ったアワビの貝殻に、千切りにしたダイコンと、砂袋などを取り除いてぶつ切りにした肝を置き、味付け後にオーブンで火を入れた。ひと煮立ちしたタイミングで肝から外した白い部分やバターも添え、再び焼き上げた。
 生徒たちは、砂袋を包丁で切り離したあとも肝部分を流水で丁寧に洗い、食べた時の舌触りにもこだわりながら奮闘。火が入ると、アワビの芳香が広がった。
 商議所関係者も交えた試食では「ご飯が進む」「思っていた以上に食べやすい」といった声が寄せられた。樋口さんは「のみ込みが早い生徒たちだった。次の世代につながっていけば」と期待を込める。
 生徒たちは今後、さらに調理法に磨きをかけ、来月22日に開かれる産直海鮮まつりでの提供を目指す。
 実習を終えた大畑さんは「教わりながら初めて調理したが、一つ一つの作業にしっかりと意味があり、おいしく仕上げる大切さを学んだ。焼いたあとも汁が残るように極めたい」と意欲を見せていた。