8年度に取りまとめへ 市議会「市民と歩む機能向上特別委」 政策サイクル・報酬と定数・広聴広報を検討
令和6年11月29日付 1面
大船渡市議会の「市民と歩む議会機能向上特別委員会」(委員長・今野善信副議長、議長を除く全議員で構成)による全体会議は28日、市役所で開かれた。9月定例会で設置して以降、初めての開催で、伊藤力也議長が同委員会による議会機能向上への調査・検討の必要性を説明。特別委には政策サイクル、定数・報酬、広報広聴を検討する部会も設けられており、令和8年9月の取りまとめを見据え活動する流れを確認した。(佐藤 壮)
全体会議には全19委員のほか、オブザーバーとして伊藤議長が出席。前半は「特別委員会による調査・検討の必要性」として、伊藤議長がこれまでの議会改革に関する動きを交えながら説明した。
市議会は、一問一答方式の導入や各種委員会の公開に取り組んできたほか、議会・議員の位置づけを明確化する議会条例を制定。東日本大震災以降は、復興計画に対して特別委員会が市当局に提言活動を行い、市民目線の施策反映につなげた。現在は、各常任委員会が市民活動を調査し、議員間討議を経て政策提言する流れに生かされている。
一方、人口減少に伴い持続可能なまちづくりの重要性が高まる中で「社会の多様性」が叫ばれている。今年4月の市議会議員選挙が市制施行後初の無投票に終わったことでも顕在化し、女性や若者が参加しやすい環境づくりや、介護や子育てと議員活動の両立といった課題対応も急務となっている。
また、近年の議会報告会は1会場のみの開催で、より幅広い層の市民参加を促す取り組みが注目されている。
伊藤議長は「政策サイクル・報酬と定数・広報広聴」の重要性を強調。このうち、政策サイクルでは例の一つとして、毎年9月定例会での前年度決算を巡る論戦を生かし、新年度予算審議に反映させる体系的な流れを示した。市の議員報酬は月額32万円と県内市の中で中位にある一方、政務活動費は1カ月当たり7000円で県内市では最低となっている。
さらに「議会からの監視と政策提言の進化、住民福祉の増進を目指す議会活動の構築」といった方向性も示し、理解を求めた。これに対して、委員からは「あまり〝上〟からこうやれ、ああやれというのではなく、みんなで勉強し、課題をとらえながら改革していく流れが重要ではないか」といった意見が寄せられた。
引き続き、今後の取り組みの流れを確認。来月の全体会では、前任期の今年2月に作成した「市議会議員定数等委員会調査報告書」の内容などについて確認する。当時委員長を務めた船野章市議が講師役を務める。
同委員会は任意組織として検討を進め、市議報酬では議員の活動量と首長の活動量を比較して、適正な報酬額を探る「原価方式」のあり方などに注目。「議員定数と報酬は、議会独自で検討するものではなく、住民の皆さんと考えることが必要」と指摘し、定数・報酬の方針が一定程度固まった段階で、住民との懇談会を開催する必要性も掲げた。
来年2月には有識者を招いた研修も計画。年度内に政策サイクル検討、定数等検討、広報・広聴検討の各部会で調査・研究事項の方向性を固め、7年度から具体的な取り組みに入る。
8年度は各部会で取りまとめに入り、9月定例会で委員長報告を行う。場合によっては、市特別職報酬等審議会の開催を市当局に要請する。