〝先生〟として普及、発信 東高の食物文化科3年生6人 集大成の「郷土料理伝承会」(別写真あり)

▲ 東高の生徒らが参加者らに「小豆ばっとう」の作り方を伝承

 大船渡地方農業振興協議会(会長・神田謙一住田町長)と「食の匠」気仙地方連絡会(佐藤ミキ子会長)による「高校生による郷土料理伝承会」は11月30日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールで開かれた。大船渡市にある県立大船渡東高校(宇夫方聰校長、生徒211人)の食物文化科3年生6人が講師を務め、参加者らに気仙に伝わる郷土料理「小豆ばっとう」を指導。生徒たちは〝先生〟として調理方法などを紹介し、気仙の味の普及、発信を図った。
 講習会は、同協議会と同連絡会が展開する「高校生を対象とした郷土料理伝承事業」の一環。この事業には、同科の課題研究で「地域資源・食文化チーム」を選択する黄川田瑠衣さん、菊池美沙さん、杉山耀理さん、新沼優羅さん、森優さん、山下優さんの6人が受講した。
 6人は県認定の「食の匠」である松田ひろ子さん(70)=住田町上有住=から「小豆ばっとう」の作り方を習得。講習会は事業の集大成として、学んだ作り方を地域住民に伝承しようと催され、気仙3市町から11人が参加した。
 小豆ばっとうは、ナンブコムギの粉で平打ち麺のような「はっとう」を作り、甘く味を付けたゆで小豆に入れた一品。気仙では農作業の小昼や行事食などとして、古くから親しまれている。
 この日は、生徒らが実演を交えながらはっとう生地の作り方などを受講者らに伝授。分かりやすく作り方を解説するとともに、4班に分かれた参加者らにも生徒がついて指導、サポートに当たった。
 生徒らは、半年にわたって学んだ作り方や、練習を重ねて得たこつなどを参加者らに伝えた。試食もし、参加者らと交流も深め合った。
 大船渡市猪川町から参加した佐々木久子さん(73)は、「ナンブコムギを使うことで麺にこしが出て、小豆もあまり時間をかけずに軟らかくできると分かった。簡単にできて感動した。家に帰ったら作ってみたい」と話していた。
 菊池さんは「教えるのは初めてで、食べやすいように作るにはどうしたらいいかを考えながら伝えた。今までで一番よくできたと思う。おいしく、家で作ってみたいと思ってもらえることが伝承になる。そのためにも、おいしいと言ってもらえてうれしかった」と話し、充実した表情を見せていた。