自助・共助さらに強化を 一般質問答弁で防災訓練を総括 町議会12月定例会開会

▲ 12月定例会が開会。初日は4議員による一般質問が行われた

 住田町議会12月定例会は3日開会し、会期を6日(金)までの4日間と決めた。初日は荻原勝(無所属)、金野千津(同)、林﨑幸正(同)、村上薫(同)の4議員による一般質問が行われ、空き家対策や防災・防火、経済対策で当局と論戦。この中で、10月に行われた町総合防災訓練について、町は住民同士の連携強化には一定の成果があった一方、災害時に自力で逃げることが難しい「要支援者」への対応にはさまざまな課題がみられたと総括。自主防災組織の育成や避難所運営訓練を展開し、自助・共助強化を図るとした。(清水辰彦、2面に一般質問の主なやりとり)


 総合防災訓練を取り上げたのは金野議員。住民の参加状況、要支援者の個別避難訓練以外の新たな取り組み、今回の訓練における課題を尋ねたうえで、今後の防災対策について当局の見解を求めた。
 町は10月20日、町内全域で初めて「個別避難計画」をもとにした総合防災訓練を実施。同計画は、高齢者や障害者等の避難行動要支援者一人一人の状況に合わせて、災害時にどのような避難行動を取るのか、「誰と」「どこへ」「どのように」避難するのかや、避難時や避難先での必要な配慮などについてあらかじめ定めておくもの。町では本年度、ケアマネージャー、地域包括支援センター、町保健福祉課が担当となって策定を進めてきた。
 訓練は、土砂災害警戒情報、河川の氾濫警戒情報発表に伴う「避難指示」が発令された想定のもとで実施。個別避難計画作成者の情報に基づいて避難役を設定しており、ケアマネージャーが要支援者に対して電話で避難準備を指示し、避難先を確認。民生委員は要支援者の安否を確認し、個別避難計画対象者を巡回するとともに、要支援者の状況を自主防災組織へと伝えた。
 自主防災組織は避難所を開設し、消防団を通じて災害対策本部に状況を報告。消防団は警戒巡視を行いながら避難所を巡回し、介助が必要な避難者を指定避難所となる住田中体育館、大股地区公民館、生涯スポーツセンター、上有住地区公民館、五葉集会センターの5カ所へと、それぞれ移送した。
 町によると、訓練には住民932人と消防団員125人が参加。神田謙一町長は「東日本大震災、能登半島地震のような大規模災害時には、自助、共助の役割が大きく、地域防災においては共助の中心となる自治公民館、自主防災組織が重要な役割を担う」としたうえで、「多くの方々に参加いただき、避難意識向上、共助意識醸成が図られた」と所感を述べた。
 今年の訓練では、新たな試みとしてLINEを活用した情報伝達、LINEオープンチャットによる避難所運営職員との情報共有も図っており、神田町長は「共助には欠かせない地域住民、民生委員、消防団などの連携には一定の成果あった」と振り返った。
 一方で、「要支援者が避難する際の車いすの操作、折り畳み式スロープの傾斜角度など、介助方法、要支援者の負担への知識が不十分だった。住田中体育館を避難所とする場合、設備に対する課題も浮き彫りとなった。また、個別避難計画作成上の課題は、支援者が緊急時にそばにいない、避難行動要支援者に連絡がつかないなどが挙げられる」との課題も示した。
 今後の防災対策としては「災害等の初動対応は公助の役割に限りがあるため、まずは自助、共助の強化につながる自主防災組織の育成をはじめ、避難所運営訓練の実施、設備の改善に取り組んでいきたい」と語った。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽4日=本会議(一般質問)▽5日=休会▽6日=本会議(議案審議)