伐倒・駆除の経費助成へ 松くい虫、ナラ枯れの倒木被害防止で補助金 上限50万円 市議会定例会に補正予算
令和6年12月6日付 1面
市街地などでの松くい虫やナラ枯れ被害木による倒木被害が懸念される中、大船渡市は新たに「森林病害虫被害木クリーン事業費補助金」の創設を目指している。6日開会の市議会12月定例会に、関連費用を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出する。助成額は、経費の2分の1で、50万円を限度とする方針。来年1月中旬の受け付け開始を見据える。(佐藤 壮)
マツノマダラカミキリがもたらす病原菌で起こる松くい虫被害は、20年以上前から気仙でも各地で確認されるようになった。県沿岸南部では三陸町の吉浜地区が北限とされる一方、市内には高被害地域も存在する。
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシが繁殖のために材内に入った際に持ち込まれた病原菌(通称・ナラ菌)により、主にミズナラやコナラなどのナラ類が枯死する伝染病。市内では平成25年に確認されて以降、拡大傾向が続く。
新たに創設を目指す補助金は、病虫害による枯死経過木の伐倒や駆除費用の一部を助成し、市民生活の安全確保に努めるほか、病害虫被害のまん延を防ぐもの。吉浜地区や、国立自然公園がある末崎町を対象とした国や県の補助事業はあるが、対象外地域である市街地等の被害木、枯死経過木については、倒木による人身被害等が懸念されている。
市によると、本年度だけで「枯死木処理の補助はないのか」「市でやってくれないのか」といった相談・要望が20件近く寄せられた。近年は数件程度で推移していたという。被害確認から期間が経過した中、手つかずのまま倒木の危険性が高まっている本数も増加が予想される。
電線や家屋が近く特殊伐採を伴う場合もあり、業者に依頼すると高額の費用が見込まれ、対応に苦慮している所有者も見られる。荒天時などの倒木による人身、車両、建物への被害を心配し、対策を求める声も増えてきた中、市は森林環境譲与税を財源とした補助金創設を目指している。
対象者は被害木や被害経過木を市内に所有している個人・団体。被害木の倒木、駆除(薬剤によるくん蒸など)に要する経費に加え、枯死経過木の伐倒や整理に要する経費も含む方針。
市内全域を助成対象とするが、具体的な対象地や被害木の状況といった条件は、現在調整中。来年1月中旬から周知を始める考え。予算額は476万円で、上限に達し次第、受け付けを終了する。一方で市は、7年度以降も継続的に補助金制度を運用することにしている。
市議会12月定例会に上程する一般会計補正予算案は、歳入歳出の総額に6億6307万円を追加し、総額を216億6224万円とする。
クリーン事業費補助金のほか、市特例福祉灯油等助成事業の関連費用も計上。世帯の全員が住民税非課税の高齢者、重度障害者らがいる家庭、ひとり親、生活保護など約3700世帯が対象で、来年1月中旬に1世帯7000円を口座振込で支給するよう準備を進める。