大船渡が本州トップ堅持 全さんま11月末集計 今季は昨年よりも早く終漁

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和5年・6年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。11月30日現在、大船渡市魚市場に水揚げされた数量は5646㌧(前年同期比1876㌧増)、金額は27億8223万円(同9億6090万円増)と、いずれも前年の約1・5倍となった。5000㌧突破は令和2年度以来で、全国では北海道の花咲に続く2位で本州トップを維持。大船渡では、11月末でほとんどの漁船が漁を切り上げ、昨年よりも早い終漁となったが、不漁が叫ばれる中で数量はわずかに持ち直した。(菅野弘大)

 

今季の漁を終えた大型船での漁具撤収作業(今月2日)

 全さんまの発表によると、同日現在の全国数量は前年同期比61%増の3万8681㌧。金額も同80%増の179億7498万円で、前年を大きく上回った。
 数量は北海道分が2万3903㌧(前年同期比61%増)、本州合計は1万4779㌧(同61%増)。本県は、大船渡、釜石、宮古の3港で数量7136㌧(同2956㌧増)。大型船を所有する地元企業やサンマを取り扱う水産加工業者の強みを持つ大船渡が8割を占め、数量、金額ともに本州トップを維持した。本州では数量の約4割を占め、1㌔当たりの単価は493円と前年並みだった。
 水揚げの漁船数は全国で1480隻と、前年同期の1619隻から139隻(9%)減少。大船渡でも196隻(前年228隻)と減ったが、1隻当たりの漁獲数が増えたことなどにより、数量は伸びた。
 今季のサンマ漁は、公海に限り例年よりも早い8月10日に解禁。大船渡への初水揚げは同23日で、同月中に100㌧を超えると、9月下旬からコンスタントに100㌧超えが相次いだ。10月に入るとさらにペースアップし、連日まとまった数量の水揚げが続いた。
 11月も初旬から数量がまとまり、来遊する魚群が南下したことで本州に近い三陸沖にも漁場が形成され、鮮度の良いサンマを短い航行時間で届けられるようになった。27日夜には気仙の海域でも漁が行われ、海沿いから集魚灯の青い光を見ることができた。市魚市場に接岸する定置網船にも連日サンマが入っており、量はわずかだが三陸沖に魚群が残っているとみられる。
 大船渡では、多くの漁船が同月末で漁を切り上げ、今月3日の水揚げを最後に終漁。令和元年、2年の6000㌧台には届かなかったが、3000㌧台だった同4、5年と比べて数量は回復し、来年の漁につながる兆しをうかがわせた。