復興の象徴 を背に疾走 923人出場し活気広がる 奇跡の一本松マラソン初開催

▲ 大会名に冠した奇跡の一本松付近を駆けるハーフ参加者

 陸前高田市の奇跡の一本松マラソン(実行委主催、アディダスジャパン㈱特別協賛)は8日、高田町の夢アリーナたかたを発着点とするコースで開かれた。昨年までの「復活の道しるべ 陸前高田復興応援ありがとうマラソン」を継承し、企画された記念すべき1回目の大会。県内外から923人のランナーが出場し、東日本大震災からのハード復旧をほぼ終え、整えられた中心市街地や復興のシンボル「奇跡の一本松」周辺などを疾走した。(高橋 信)

 

 発着点の夢アリーナたかたには同日、北は北海道、南は沖縄から愛好者が集い、冷たい空気を吹き飛ばす活気にあふれた。特別ゲストとして、本県出身でプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの球団アンバサダー・銀次さん(36)のほか、市ゆかりのトップアスリートとして砲丸投げの佐藤征平さん(32)=新潟アルビレックスRC、横田町出身=と、トライアスロンの佳子さん(30)=東京ヴェルディトライアスロン、神奈川県出身=の夫妻が駆けつけた。
 実施種目は、ハーフマラソン(約21㌔)、3・2㌔、1㌔、エンジョイラン(3・2㌔)。
 このうち、ハーフは中心市街地や、高田松原津波復興祈念公園内にある震災遺構「奇跡の一本松」付近、高さ12・5㍍の防潮堤上、気仙川沿いなどの周回路を2周するコースとなっており、出場者は陸前高田ならではの自然豊かな景色、復興状況などを横目に健脚を競った。祈念公園内の「海を望む場」では大半のランナーが一度足を止め、海に向かって黙礼し、津波犠牲者に祈りをささげた。
 ハーフに出場した太田海さん(27)=竹駒町=は「比較的走りやすいコースで楽しかった。これから1000人、2000人と参加者が増えればいい」と汗を光らせた。
 愛好者と一緒にハーフを完走した佳子さんは、大会前日に征平さんと入籍し、佐藤性として初めてのラン。「景色も空気もきれい。陸前高田を盛り上げられるよう、また参加したい」と満面の笑みを浮かべた。
 新たな試みとして、仮装ランナーや最高齢者、北と南のそれぞれ最も遠方から訪れた参加者などを表彰する特別賞も新設。スターターや表彰プレゼンターを務めた銀次さんは、閉会式で「みんなで陸前高田を盛り上げていこう」と呼びかけた。
 復興応援ありがとうマラソン(旧称・陸前高田応援マラソン)は市体育協会が主催し、震災前市内で開催されていた市民マラソン大会の代替行事として平成27年に始まった。今年から交流人口の拡大、スポーツ振興などにつなげようと大会名や内容を刷新し、市や同協会などでつくる実行委が立ち上げられた。今大会から開催日を12月の第2日曜日に固定し、定着を図る。
 実行委会長の佐々木拓市長は「想定を上回る人に参加してもらい、大変うれしかった。祈念公園では多くのランナーが犠牲者に祈りをささげるなど思いも寄せていただいた。これからもっと参加者を増やし、当市の年末恒例のスポーツイベントとして根付かせたい」と意気込む。