経済効果は1億1841万円 8~10月実施の省エネ家電等買替え事業 好評も継続には財源確保課題
令和6年12月10日付 1面
大船渡市は、8~10月に実施した省エネ家電等買替え促進事業に関する申請状況や経済効果をまとめた。前年度に続く第2弾で、家庭のエアコンや冷蔵庫、給湯器を省エネ型に買い替える市内世帯に対し、最大5万円分を助成。2000万円の予算枠は使い切らなかったが、想定した400件を超える申請があり、直接的な経済効果の推計は1億1841万円に上る。事業者、住民から好評の声が寄せられているが、来年度以降の実施に向けては財源確保が課題となる。(佐藤 壮)
この事業は今年2月に続く実施で、今回も買い替え対象は、エアコンと冷蔵庫に加え、給湯器は「エコキュート」やガス温水機器、石油温水機器とした。基準達成率は、エアコンは2027(令和9)年度、冷蔵庫は2021(同3)年度、給湯器は2025(同7)年度をそれぞれ目標年度とし、100%以上を条件とした。
助成額は、対象家電の本体価格、消費税および地方消費税額を合算した金額の4分の1とし、5万円が限度。申請の受け付けは、盛町のサン・リア2階の「みんなのス窓」で対応した。
第1弾利用者は対象から外し、8月1日~10月20日に申請を受け付けた。前回よりも混雑することなく、スムーズに手続きが行われた。
市は少なくとも400件の申請に応えるべく、助成の予算は第1弾の2倍となる2000万円とした。実際の申請受付数は409件。助成金交付額見込みは1776万円で、1件平均4万3325円だった。
対象家電購入費は8898万円で、1件当たりの平均額は21万7567円。購入家電の割合は、冷蔵庫が259件(63・3%)、エアコン106件(25・9%)、給湯器44件(10・8%)だった。第1弾との比較では、冷蔵庫が9・4ポイント減少し、エアコンが5・9ポイント、給湯器が3・5ポイントそれぞれ上昇した。
家庭におけるエネルギー費用負担額の削減効果は、年間530万円。いずれも1台当たり、冷蔵庫は1万1413円、エアコン7388円、給湯器3万5394円とみる。
温室効果ガス排出量の削減効果は、年間5万8445㌔。1台当たりでは冷蔵庫は108㌔、エアコン70㌔、給湯器526㌔となっている。
家電などの購入先を市内店舗・事業所に限定し、助成金を市内事業所で利用できる商品券で交付し、地元消費の需要喚起を図った。購入先の割合は量販店が57・9%で、小売店が42・1%。前年度よりも、小売店が3・5ポイント上昇した。
家電購入、商品券交付、エネルギー費用負担の削減のほか、市が負担した申請受け付けなどの委託料、1件平均1万円程度と想定した家電配送料・家電取付工事費を加えた直接的な経済効果は、1億1841万円を見込む。
市民からは「猛暑が続く中、古くなったエアコンを買い替える後押しになった」「冷蔵庫は東日本大震災の仮設住宅に暮らしていた時から使っていた物で、ちょうど良かった」といった声が聞かれた。量販店だけでなく、小規模事業所の受注増の後押しにもつながった。今回は予算を残した形で申請期間を終えたが、想定した申請件数に達したため、追加の受け付けは行わない。
市は、地球温暖化防止に向けた温室効果ガス削減に向け、実践的な取り組みの重要性を強調。買い替えを通じた意識啓発や消費行動の面からも令和5、6年度と続けて行った成果に手ごたえを示すが、7年度以降の実施に関しては、見通しが立っていない。
5年度は国の重点支援地方交付金、6年度はまちづくり基金と、いずれも財政負担を抑えた有利な財源を活用。鈴木康代市民環境課長は「事業をやっていきたいが、財源の確保が課題。実施するにしても、実績や申請状況を踏まえ、諸条件の見直しが必要」との考えを示す。
申請受付件数と購入家電の内訳は別掲。