沿岸漁獲は依然厳しく 11月下旬の秋サケ漁獲 大船渡は前年同期比54%減

▲ 河川では前年を上回る数量の捕獲が続く秋サケ=盛川

 県農林水産部水産振興課は、11月30日時点の秋サケ漁獲速報を発表した。県全体の沿岸・河川累計捕獲数は2万4304匹(前年同期比4・8%減)と、過去最低だった昨年をわずかに下回る。大船渡市魚市場への水揚げ数は620匹(同54・2%減)で、前年同期比では県内の魚市場で最低の割合と厳しい状況が続いている。
 県沿岸における今季の累計漁獲数は1万1681匹(重量30・49㌧)で、前年同期の1万5178匹(同42・56㌧)の77%にとどまる。その一方で、河川捕獲は1万2002匹(同30・98㌧)で、前年同期の9614匹(同26・96㌧)に対して124・8%と上回り、河川捕獲数が沿岸漁獲数を超えた。
 魚市場別の漁獲数をみると、前年同期を上回るのは八木、田老、宮古、船越、大槌。久慈、野田、普代、山田、釜石は前年同期の70%台、田野畑、大船渡はいずれも同40%台と海での漁獲が低迷している。
 大船渡の11月下旬の沿岸漁獲数は89匹で、161匹だった前年同期からおおよそ半減。1㌔当たりの累計平均単価は1234円で、前年同期をわずかに下回った。
 気仙における河川捕獲数の累計は、吉浜川が85匹(メス25匹、オス60匹)、綾里川が145匹(メス79匹、オス66匹)、盛川が426匹(メス159匹、オス267匹)、気仙川が4171匹(メス1650匹、オス2521匹)で、いずれも前年同期を上回っている。採卵数は吉浜川が1万7000粒、盛川が28万7000粒、気仙川が412万2000粒で、盛川、気仙川は前年同期を上回る。
 県水産技術センターが発表した本年度の秋サケ回帰予報(9月~令和7年2月)によると、回帰数量は東日本大震災前の平均値(平成20~22年度)の1%未満で、過去最低に終わった昨年度並みの水準になる見込み。
 回帰時期は12月上、中旬が中心で、河川遡上は、11月上旬と12月中旬にそれぞれピークを迎えると予測。5年度との比較ではおおむねいずれの時期も上回る見込みだが、種卵確保の面では厳しい状況が続く。