相次ぐ開店 新たな活気 大船渡町の中心市街地 多彩な食・物販から人流創出へ

 大船渡市大船渡町の中心市街地に位置するキャッセン大船渡東側の県道丸森権現堂線沿いで12日~14日にかけ、新たな民間3店舗が相次いで営業を始めた。海鮮品やバーベキュービュッフェ、肉料理の定食と、地元消費者や観光客にとっては食や買い物の選択肢が広がり、活気創出が期待される。東日本大震災の復旧・復興需要が収束し、人口減少が続く中、各店舗の関係者は新たな人流創出に意欲を見せる。(佐藤 壮)

 

きょうもプレオープンする「魚の駅大船渡」

 キャッセン大船渡モール&パティオ向かいに整備された「魚の駅大船渡」は、鮮魚卸売業の㈱大力水産(及川剛社長)の直営。飲食に加え、鮮魚や水産加工品、総菜販売などを展開する複合施設で、入り口にはいろりやかまどを置き、串焼きの香ばしさも広がる。
 魚介類は、地元内外の「いいもの」が並ぶ。食堂は海鮮品を豪快に味わえる「ボリューム」「ちょっとしたぜいたく」を意識したメニューのほか、日替わり定食も用意。テーブル席に加え、小上がり席もある。
 13日からプレオープンし、14日も開店直後からにぎわいを見せた。八重樫和幸店長(43)は「予想以上に多くのお客さんに来ていただいている。活気ある店にしたい」と話す。
 及川社長(50)は「人口3万人の大船渡にこのような建物を構えるのは多くの人が無理と思うかもしれないが、逆転の発想。自分の企業を守るだけでなく、全国からお客さんが集まる場所をつくり、観光地にする。ここから、相乗効果を生み出したい」と語る。
 プレオープンは15日までで、準備期間を挟み、本格オープンは21日(土)。営業時間は午前10時~午後7時(食堂は午前11時~午後3時)。原則火曜日定休。

21日本格オープンの「BBQ&ビュッフェHappy」

 同店の隣接地には、末崎町の及川和希さん(35)が創業したイベント飲食店「BBQ&ビュッフェ Happy」が完成した。14、15日夜は来店者を限定してプレオープンし、21日に本格オープンする。
 及川さんは勤務していた大力水産から独立し、岩手銀行や日本政策金融公庫一関支店の創業支援を受け、ビュッフェ形式で海鮮品や焼き肉などの食事を楽しめる新たな施設を構えた。開放感あふれる店内はテーブル10卓があり、個人から60人程度の団体まで幅広い利用に対応する。
 肉類や海鮮品の「手ぶらで楽しめるバーベキュー」に加え、揚げ物や麺類、カレー、中華料理、スイーツも取りそろえる。食事は大人1人3500円(税別)からの食べ放題コースに加え、1500円(同)の平日ランチコースも設ける。
 特設ステージや音響・映像設備充実に向けたクラウドファンディングにも成功し、屋外スペースも生かしたイベント拠点としても運営。「食事に加え、訪れた人々同士が交流を楽しむ場に」と、今後を見据える。
 原則火曜日定休で、平日は午前11時~午後2時と同5時30分~10時の営業。土、日曜日と祝日は午前11時~午後10時となる。

木の温もりあふれる「022精肉店食堂」の店内

 須崎川を挟み、キャッセン大船渡フードヴィレッジ向かいでは、12日に「022精肉店食堂FromBLUE CORN」(武田秀規代表)が開店。食堂を中心とした営業から始め、年明け以降は精肉部門やキャンプ補充用品の取り扱いも本格化させる。
 武田代表(45)は、平成24年から大船渡町内で営業し、仮設商業施設「大船渡屋台村」でも出店。同施設終了後は、首都圏でのイベント事業などで着実にファンを広げ、コロナ禍の令和2年秋にはキッチントレーラーやテントが特徴的な店舗を構えた。
 市内外のイベントにも精力的に出店を重ねた。「夏まつりなどで、子どもたちにとっては大金の1000円札2枚を握りしめて注文に来てくれる。〝箱〟をつくって、温かい料理を温かいうちに食べてほしい」といった思いもあり、食堂部門の準備を進めてきた。
 当面は午前11時~午後8時(休憩時間含む)の営業。テーブル3卓とカウンターがある店内は落ち着いた雰囲気に加え、冬場は薪ストーブならではの暖かさに包まれる。ステーキやローストビーフなど肉料理を中心とした定食に加え、「昼飲み」「夕方飲み」を楽しみたい来店、予約や、団体による貸し切りにも応える。
 年明け以降に本格化させる精肉部門は、家庭で調理しやすいように味付けした真空パックでの販売や、人数に合わせた量の調整など、バーベキュー向けの対応も見据える。皿やプレート、ガス管といったキャンプの補充用品も取り扱う。
 店名には大船渡市を示す郵便番号の「022」を据え、多くの人々が立ち寄る店づくりを思い描く。武田代表は「外から人を呼び込まなければ」と話す。