冬の使者 雄々しく  今年もオオワシ飛来 千葉さん(大船渡写真ク)が狩り撮影

▲ 大船渡市魚市場近くで魚を捕らえるオオワシ(15日午前11時26分、千葉仁さん撮影)

 国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているオオワシが、今冬も大船渡市内に飛来した。15日には大船渡写真クラブ会員の千葉仁さん(70)=同市猪川町=が、大船渡町の市魚市場周辺で迫力ある狩りのシーンの撮影に成功。大船渡へやってくるオオワシを18年にわたり追い続けている千葉さん。「今年も来てくれた」と、冬の使者の到来を歓迎している。

 国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているオオワシ。体長はおよそ1㍍、翼を広げた際の翼開長は2・5㍍ほどで、国内で見られる猛禽類では最大級。環境省によると、世界の総個体数は5000羽ほどと推定される貴重な種で、ロシアのカムチャツカ半島や極東のオホーツク海沿岸などで繁殖し、北海道東部を中心に約1400~1700羽が各地に分散して越冬するという。
 大船渡では、例年冬に市魚市場周辺に現れ、3月ごろまですごす様子が見られる。千葉さんは今年、昨年より2日早い11月24日に飛来を確認。「ほぼ同じ場所にやってくる。その場所を見ていてほんの一瞬目を離したあとに、姿があって驚いた。去年も飛来したのと同じ個体ではないか」と話す。
 今月15日午前には、海面から魚を文字通りわしづかみにする場面を撮影。付近には空を旋回するもう1羽のオオワシもいたといい、「争う様子は見られなかったので、つがいか兄弟なのかもしれない」と推測する。
 千葉さんは大船渡に飛来するオオワシを平成19年に初めて撮影。「ワシ子」の愛称を付けて追い続け、この個体は平成30年まで飛来を続け、その後は別の個体がやってきているという。
 望遠レンズをかついでオオワシを追い続ける中、3年前には大病も経験。気管切開し声を出しづらい状況となり、最近になって手話の勉強を始めた。「いろいろなつながりが生まれ、かつて撮影した人やそのご家族と触れ合うこともできた。体がいまの状態になって、オオワシに会うのがますます楽しみになり、日々の励みになっている」と、悠然と飛ぶ冬の使者の姿に目を輝かせる。(千葉雅弘)