地域の課題にアプローチ 大船渡学冬の陣 キャッセンでフィールドワーク 大船渡高(別写真あり)
令和6年12月18日付 6面
大船渡市猪川町の県立大船渡高校(石井美樹子校長、生徒416人)が独自に取り組む総合的な探究の時間「大船渡学」の冬季集中型学習期間「大船渡学冬の陣2024」が、17日にスタートした。1、2年生266人が参加し、初日は大船渡町のキャッセン大船渡エリアでフィールドワークを展開。市内の企業、法人、事業所の担当者からまちづくりやビジネスなど幅広い分野の講義も受け、それぞれの業界が抱える課題や未知なる問いに対するアクションを探った。
生徒らが一年を通じて自らの設定した探究テーマについて学習を深めていく大船渡学。後期のミッションに「自分の興味関心・専門性を活用して、地域や社会、世界の課題に主体的なアプローチをする」を掲げ、今回の冬の陣は、キャッセン大船渡というフィールドを活用して「一次情報」をもとに問いを深めることの実践を到達点としている。
活動には、㈱スリーピークス、㈱バンザイ・ファクトリー、バイクの駅、NPO法人三陸ボランティアダイバーズ、㈱三陸アクティブ、市役所土地利用課、KESEN ROCK FREAKS、㈱キャッセン大船渡、Novalumo合同会社、NPO法人防災・市民メディア推進協議会(FMねまらいん)、㈱東海新報社、一般社団法人大船渡地域戦略、みんなのしるし合同会社、市社会福祉協議会、鬼椿市民雑貨店、加茂ガーデンの16事業者が協力。
初日は大船渡プラザホテルや各事業者の店舗、事務所を会場に、3~5人の班に分かれた生徒らが、選択した事業者のもとで講義、体験などに臨んだ。
講義で具体的な活動内容や地元で仕事をするうえでのやりがい、熱意、東日本大震災に見舞われた中での新しいまちづくりへの関わり方などに理解を深めた生徒らは、各事業者の仕事を簡易的に体験したり、震災後に整備された市街地を歩いて新たな発見を写真に残した。キャッセンエリアを巡りながらゲーム感覚で防災を学べるコンテンツ「防災×観光アドベンチャー『あの日』~大船渡からの贈り物~」に挑戦した班もあり、普段何気なく足を運ぶ場所の景色をじっくりと眺め、新たな魅力を見つけた様子だった。
鬼椿市民雑貨店でキーホルダー製作などを体験した菊池七実さん(2年)は「『何が起こるか分からないからこそ、出会いを大切にしてやりたいことに挑戦すべき』という話が印象に残った。地元の人たちと交流できて貴重な体験になった」と話した。
生徒らは今後、講義を受けた事業者らから提示された問いに対するアクションを考え、20日(金)にプレゼンや実証実験を行う。冬の陣は23日(月)まで。