過去最高の88%に上昇 大船渡駅周辺地区 11月末時点の土地利用率 新たな掘り起こし今後の鍵に
令和6年12月19日付 1面

大船渡市が東日本大震災の復興事業で実施した大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内の土地利活用率(面積割合)は、11月末現在で88・1%となった。今年3月末比では、1・5ポイント上昇し、店舗など新たな利用が広がった。利用予定者を含む割合との差がほとんどなくなったことから、新たな利活用の掘り起こしが今後の鍵となりそうだ。(佐藤 壮)

平成31年以降、土地利用率の上昇が続く大船渡駅周辺地区
市がまとめた土地区画整理事業区域内における土地の利活用状況によると、道路や公園などの公共施設用地を除く21・36㌶のうち、利用中は18・81㌶。今年3月末から0・31㌶増えた。
キャッセン大船渡モール&パティオ向かいの県道丸森権現堂線沿いに「魚の駅大船渡」が完成。このほかにも新たな民間事業所の施設建設や分譲住宅、大船渡市農協の駐車場などが増加要因となっている。
JR大船渡線から県道間には、多彩な店舗が集積するおおふなと夢商店街やキャッセン大船渡が入り、大船渡駅から山側では金融機関や事業所に加え、住宅の立地も目立つ。区画整理区域内には128店舗あり、このうち53店舗(41・4%)が飲食店となっている。
また、JR大船渡線BRT沿いから県道丸森権現堂線間に広がる大船渡駅周辺地区の津波復興拠点整備事業区域には71店舗があり、飲食店は34店舗(47・9%)。区域内のうち、キャッセン大船渡は33店舗中15店舗(45・5%)、おおふなと夢商店街は27店舗中17店舗(63%)が飲食店となっている。
東日本大震災で被災した大船渡駅周辺地区では、土地区画整理事業(事業区域33・8㌶)による復興まちづくり事業を展開。JR大船渡線から山側(西側)では、震災規模の津波に対応した安全な住宅地区として整備した。海側(東側)は商業・業務地区として整備するとともに、災害危険区域の指定による居住制限や商業・業務系の利用を誘導してきた。
平成25年8月に着工し、31年3月末で土地のかさ上げや道路整備、公共施設の建設といった基盤整備工事が完了し、4月には最後の「まちびらき」式典が盛大に催された。令和2年からのコロナ禍でも、土地利用率は着実に上昇を続けた。
同4年以降、利用予定を含む土地利用は80%台後半で推移。実際に動き出した土地利用率が年々増加を続けることで、11月末時点では両者の差がほとんどなくなった。
店舗整備や住宅建設のほとんどで完成にめどが付いたと言える半面、さらに利用率を高めるには、新たな整備を考える事業者や個人を取り込まなくてはならない。90%台の到達に向けては、不透明な部分も多い。
県道丸森権現堂線の東側や、おおふなぽーと北側などには未利用の土地が散見される。また、閉店した施設の利活用も注目される。
市は、土地区画整理事業区域をJR大船渡線と須崎川を境としてA、B、C、Dの4区域に区切り、地権者が売却・賃貸を希望する土地の情報をホームページで公表。宅地としての利用も含む希望者からの申請を受け付け、地権者を紹介している。
土地利活用率の推移は別掲。