2年連続PRに手応え 大船渡市と住田町が台湾の観光イベント参加 定住自立圏共生ビジョンの枠組み生かし
令和6年12月21日付 1面

大船渡市と住田町が締結した定住自立圏共生ビジョンに基づき、両市町の事業所関係者らが今月、台湾で訪日観光客の両市町滞在をアピールした。昨年に続く取り組みで、台北市での東北旅行促進PRイベント「日本東北遊楽日2024」(一般社団法人東北観光推進機構主催)のブースでは、ホタテ絵馬などの体験コーナーが好評。旅行業者訪問でのアピールでも手応えを得ており、来年以降の来訪増加が期待される。(佐藤 壮)
定住自立圏は、一定の要件を満たした市(中心市)と近隣市町村が連携、協力し、必要な生活機能等を確保することで地域における定住の受け皿となるもの。両市町は、同市が生活機能の確保で中心的な役割を担う中心市となり、令和元年10月に定住自立圏形成協定を結んだ。
協定に基づき、本年度まで5年間を期間とする共生ビジョンを策定。広域観光の推進では、外国人観光客向けの観光ルート造成や受け入れ体制の整備を図り、広域観光プロモーションを展開している。
台湾現地での活動は昨年に続き2度目。今年も参加した「日本東北遊楽日」は、台湾の訪日旅行リピーターや、20代~40代の女性個人旅行者、家族旅行層などをターゲットに、東北地方の認知度向上や訪日旅行の促進を図ろうと開催している。2日間で9万5000人超が訪れた。
大船渡市と住田町をPRするブースでは、昨年好評だった「恋し浜のホタテ貝殻絵馬」の体験を設けた。さらに、両市町の地図上にモデルコースや立ち寄りスポットを紹介。観光スポットの写真を並べ、気に入った場所にシールを貼ってもらうアンケートも実施した。
用意したパンフレット2500部をすべて配布したほか、ホタテ絵馬も持ち込んだ300枚がすべて飾られた。ホタテ絵馬は今月中に、三陸鉄道恋し浜駅に〝奉納〟される。
アンケートで最も人気が高かったのは、住田町の滝観洞。大船渡市の三陸鉄道も関心を集めた。モデルコース提案では「自然の美しさを身近に感じる魅力体験」として、特に50~60代の〝ゆったり旅〟を楽しみたい層を意識。夏から秋にかけ、仙台方面から入り、滞在後は県内近隣の観光地に向かう流れを提案し、碁石海岸やキャッセンエリアも紹介した。
昨年は「大船渡はどこにあるのか」といった問いかけが目立ったが、今年は「仙台空港からどのように行けばいいか」など、来訪を意識した声も多く寄せられたという。
活動に参加した市観光物産協会の大和田恵美係長は「『猊鼻渓に行きたいと思っているが、その後に立ち寄るにはどうすればいいか』など、具体的な質問を寄せる方もいた。魅力ある写真を生かした発信など、分かりやすいアピールが大切と感じた」と話す。
イベント終了後は、飲食や宿泊、観光に携わる両市町の民間事業所関係者が合流。台北市内の旅行代理店など10社を回り、両市町を訪れるツアー造成などを呼びかけた。この中には、すでに大船渡での旅行実績がある業者も。東北の各空港と台湾を結ぶ直行便がコロナ禍前よりも充実しつつある中、昨年以上に具体的な協議が進んだという。
昨年における両市町の外国人観光客入込数は1530人で、このうち台湾が487人を占めた。今年は9月末時点で台湾だけで1000人を超えるなど好調に推移しているが、県内陸部とは大きな開きがある。
また、台湾からの観光客で多いのは、仙台空港を利用した4泊5日程度の滞在。この間に東北を巡る行程が組まれる中、両市町では1日程度かけて観光客を呼び込む流れを見据える。
来年2月には台湾で行った事業の報告会を計画。市観光物産協会でも、台湾からの観光誘客をテーマとしたセミナー開催を目指している。