高田高生10人 1月に米クレセントシティ訪問 友好都市へ5年ぶり派遣 市役所で出発式 デルノーテ高生徒と交流(別写真あり)

▲ 大林会長(手前左端)からメッセージカードを受け取る生徒代表

 陸前高田市の県立高田高校(菅野幸貴校長)生徒を友好都市である米カリフォルニア州クレセントシティ市に派遣する国際交流事業が、新型コロナウイルス禍の中断を経て5年ぶりに再開される。渡米するのは1~3年の計10人で、1月5日(日)~12日(日)に姉妹校のデルノーテ高に短期留学体験するほか、現地のホストファミリーなどと交流する予定。23日には市役所で出発式が行われ、東日本大震災を機に固い絆で結ばれた両市の交流の一翼を担うべく決意を語った。(高橋 信)

 

 23日は、菅野校長や派遣される生徒らが市役所を訪問。佐々木拓市長や山田市雄教育長、村上知幸地域振興部次長らが対応した。
 生徒たちは一人ずつ決意表明。「日本では味わえない文化や生活に触れ、視野を広げたい」「将来保育士になる夢がある。アメリカでの幼少期の遊びを学び、将来の仕事に生かしたい」とはきはきと述べ、市長や教育長らが「目標を明確に持ち、大変素晴らしい」とたたえた。
 引き続き、生徒たちは市民団体「クレセントシティ友好の会」(大林孝典会長)と懇談。会員や市議会の及川修一議長、伊藤明彦議員らから激励の言葉を受けた。
 大林会長は「人と人として友情関係を築くことが国際交流につながる。あまり難しく考えず、まずは現地の人と楽しく触れ合い、友達をつくることを目標にしてほしい」と呼びかけ、クレセントシティ市民に宛てたメッセージカード、両市の名所などのポストカードを手渡した。
 生徒たちは1月5日に陸前高田市をたち、7日(火)~9日(木)にデルノーテ高で過ごし、ホームステイも体験する。自身の探求テーマに合わせて現地でインタビューなども行う。
 渡米を前に、生徒たちは市国際連携シニアアドバイザーの村上清氏を講師に招き、両市の交流の歩みや国際交流の意義を学習。市観光交流課所属の国際交流員による約2カ月間の英会話レッスンも受けた。
 訪米団メンバーの岡田莉子さん(3年)は昨年6月、陸前高田市を訪れたデルノーテ高の女子高生をホストファミリーとして受け入れ、交流した。「インスタグラムで連絡を取り合っている。彼女から写真でもらったクレセントシティの景色を一緒に見たい」と再会を待ちわびる。
 両市の交流は、震災の津波で流された高田高海洋システム科の実習船「かもめ」が、発災から約2年後の平成25年4月にクレセントシティに漂着したのをきっかけに始まった。地元のデルノーテ高生らの尽力で同年10月に高田高に返還され、両校は29年に国際姉妹校となった。30年には両市が姉妹都市協定を締結し、市民交流団が相互に訪問するなど交流している。
 高田、デルノーテ両校の生徒派遣は行政からの財政支援などを受け、1年交代で実施されてきた。令和2年度以降、コロナ禍で休止し、デルノーテ高からの派遣は昨年度再開した。
 市は来年度以降、2年に1回ペースだった高田高生の派遣について、年1回に増やしたい考え。同様にデルノーテ高からの受け入れも毎年実施を見込んでおり、高校生同士の交流の活発化を目指す。
 佐々木市長は「震災の記憶の風化が懸念されるが、デルノーテ高と高田高の交流は震災の経験を後世につなぐことにもつながる。それぞれの視点でクレセントシティを見つめ、いっぱい刺激を受けて、何より思い切り交流を楽しんできてほしい」と期待を込める。