2024気仙この一年/記者の取材ノートより③ 産業

▲ 秋サケは大船渡市魚市場での水揚げが前年比半減と低迷(11月13日)

大船渡で秋サケ不漁深刻

試験養殖の取り組みも進む

秋サケ水揚げ半減 サンマは前年超え

 

 海の環境変化などによって不漁が叫ばれる水産業。本県沿岸漁業の主力とされてきた秋サケは今季も不漁が続いており、特にも大船渡市魚市場の水揚げ量減が著しく、今月10日時点で前年を51・5%下回る670匹と、県内12市場で最も低い割合となっている。県全体の沿岸・河川累計捕獲数は3万1696匹で、前年同期をわずかに上回るが、過去最低に終わった昨年同様、低水準の様相を呈している。
 市魚市場へのサンマ水揚げ量は、11月30日現在、前年同期比50%増の5646㌧で、4年ぶりに5000㌧台に到達。令和元年、2年の6000㌧台には届かなかったものの、今季も数量、金額とも全国2位で本州ではトップを維持する見通し。例年よりも早い時期の漁解禁に加えて、三陸沖にも漁場形成があったことで数量増となり、来年以降につながる明るい兆しが見えた。
 養殖業では、海水温上昇などを原因として、広い養殖種でへい死などの被害が見られ、環境変化の影響が顕著に表れている。大船渡市三陸町の越喜来漁協では、高水温にも耐えられるアサリの試験養殖が進められており、今後の展開に注目が集まる。

 

広田湾産イシカゲ貝、大幅減産/陸前高田

 

 陸前高田市の特産海産物「広田湾産イシカゲ貝」の本年度水揚げ量は、前年度の58・6㌧から約7割減と大幅に落ち込んだ。イシカゲ貝は高水温の影響を受けやすいとされ、近年問題視されている海水温の上昇を一因に大幅に減産したとみられる。
 市などによると、これまでの最多の水揚げ量は令和4年度の約84㌧。5年度は約58・6㌧と計画の77%に減産し、本年度はさらに前年度の3割程度に激減した。
 広田湾漁協と水産大手の㈱ニッスイは昨年12月から、広田町内でサーモンの海面養殖を試みており、今年6月には1年目の水揚げが行われた。市によると、水揚げ量は約178㌧で、海洋環境への影響もみられず、順調に試験養殖が進んでいるという。

 

滝観洞観光セ新築オープン/住田

 

 住田町上有住の観光地・滝観洞を管理する滝観洞観光センターが、4月27日に新築オープンした。11月3日には、オープンから約7カ月で入洞者が1万5000人を突破。東日本大震災後としては最多の人数で、以降もさらに来訪者が伸びている。
 同センターは、老朽化に伴って町が新築整備。地場産の木材を積極的に使用し、2階建ての施設の1階には物販スペースや受付カウンターなど、2階には食堂や滝観洞の名物「滝流しそば」の体験スペース、テラスを設けている。
 住田観光開発㈱が指定管理を担い、同社は県内外に積極的にPRを行っており、その成果もあって多くの観光客でにぎわっている。