2024気仙この一年/記者の取材ノートより⑥ 気象 気仙 8月に台風直撃 2度目の大船渡上陸 記録的な高温の日多く 

▲ 台風5号が大船渡市付近に上陸。住田町では約90人が住田中体育館に避難した(8月11日)

風雨の影響受けるも人的被害なし/台風5号

 

 三陸沖を進んだ台風5号は8月12日、大船渡市付近に上陸した。昭和26年の統計開始以降で、東北の太平洋側から上陸した台風は3例目。同市への上陸は平成28年8月以来で、2度目となった。気仙3市町では、風雨による倒木で一部地域で停電があったほか、道路のり面が崩れるなどの被害がみられたが、人的被害はなかった。
 気仙では台風の影響で、同月11日から13日にかけて、荒れた天気となった。盛岡地方気象台によると、大船渡ではいずれも12日に観測した、日最大風速16・0㍍が8月歴代2位を、日最大瞬間風速27・3㍍、月最大24時間降水量148・0㍉、日降水量122・5㍉が、それぞれ同歴代4位を記録した。
 断続的な降雨により、気仙各地の河川でも水位が高くなった。県河川情報システムによると、大船渡市の盛川(権現堂橋)で12日午前11時50分に消防団待機水位の1・10㍍を超過。午後4時30分には、避難判断水位の1・50㍍に達した。浦浜川(越喜来橋)は、同日午前3時40分に消防団待機水位の1・30㍍を超え、同10時40分には1・63㍍にまで上昇した。
 気仙3市町は11日から12日にかけて避難所を開設し、命を守る行動を呼びかけた。避難者数は3市町で合計200人規模に上った。
 台風接近・上陸に伴い、お盆に合わせたイベントの延期、公共交通の運休など影響が出た。三陸鉄道は、宮古市内の一部区間で線路脇ののり面が崩れ、11月まで不通となる被害を受けた。
 3月、5月には荒天の日があり、気仙3市町を含む本県沿岸地域に暴風警報が出された。このうち、5月の荒天時は大船渡市三陸町綾里の県道大船渡三陸綾里線で倒木があり、約900戸で停電が発生した。

 

1、2、4、10月平均気温極値更新/大船渡

 

 気仙地方は今年、平年より暖かい日が多かった。
 盛岡地方気象台によると、大船渡では1、2、4、10の各月の月平均気温が、その月の観測史上最高を記録した。このほか5〜9の各月も、歴代上位5位以内に入った。1~11月のうち、月平均気温が平年を下回った月はなかった。
 大船渡市が独自に指定するサクラ標本木の開花宣言は4月2日にあり、前年より6日遅め、平年より5日早めだった。
 気仙を含む東北北部は、6月23日ごろに梅雨入り(平年比8日、前年比14日ともに遅め)し、8月2日ごろに梅雨明け(平年比5日、前年比11日ともに遅め)したとみられる。
 夏は記録的な酷暑に見舞われた昨年と同様に高温の日が続いた。行政は公共施設や商業施設を避暑スペースとして開放するなど、熱中症対策にも追われた。
 7~9月に大船渡で最高気温が30度以上の「真夏日」を観測した日数は7月が11日(平年比6・6日多め)、8月が14日(同7・4日多め)、2日(同1日多め)でいずれも平年を上回った。35度以上の猛暑日はなかった。