「良い年に」願い込めて 気仙各地で迎春準備進む(別写真あり)

▲ 初詣の参拝客を迎える準備に力を合わせる加茂神社の総代ら

 年の瀬を迎え、気仙各地の神社・仏閣では初詣の参拝客を迎える準備に追われ、仕出し店などでは縁起物のおせち料理作りが大詰めとなった。慌ただしさの中でも、それぞれの関係者は明るい新年の到来を願いながら心を込めて作業に当たった。

 

充実の新年願い総代らが作業/大船渡・加茂神社

 

 大船渡市大船渡町の高台に鎮座する加茂神社(荒谷貴志宮司)では30日、総代ら神社関係者約20人が集まり、多くの地域住民らが訪れる初詣に向けて準備作業に汗を流した。
 無病息災や商売繁盛、豊漁などを祈願しようと、毎年の初詣には多くの人でにぎわう同神社。準備は同神社の総代会(及川千春会長)が中心となって行っており、今月に入ってから少しずつ新年を迎える作業を進めてきた。22日には、同神社の敬神婦人会や市シルバー人材センターが社殿などの清掃を行い、1年分の汚れを丁寧に落とした。
 30日は、青空の下で総代らが参道や境内にちょうちんを取り付けたり、福かき熊手、守矢、絵馬、各種お守りなどの縁起物を販売する社務所の受付を整えた。本殿前の参道には国旗を掲げ、新年が充実したものとなるように願いを込めた。
 及川総代会長(78)は「今年は能登半島地震が発生するなど、大変な一年だった。来年も皆が健康で過ごせればという思いだ」と作業に当たった。
 荒谷宮司(59)は「来年のえとのへびは、〝脱皮〟にかけて成長や生まれ変わる意味がある。自然災害や海外紛争の傷が脱皮とともに癒え、復興に向かっていくことを願いたい」と話していた。
 同神社では、元日の午前0時と同7時に歳旦祭を斎行する。神社へと上がる参道は、31日午後11時30分から元日午前6時30分まで交通規制がかけられる。

 

正月のおせち作りピーク/陸前高田・京亭

 

北限のゆずを使った「ゆず釜」作りに当たる熊谷店主㊨ら

 陸前高田市米崎町の料亭「京料理 京亭」(熊谷忠行店主)は29、30の両日、正月に欠かせないおせち作りのピークを迎えた。従業員は「年に一度の正月の食卓を彩るものにしたい」と真心を込めて調理に当たった。
 今年は5人前、4人前に加え、新たに2人前のおせち料理をメニュー化。11月以降、真空パックで長期保存できる品から仕込みに取りかかった。ユズの果肉をくり抜いて器に見立てる「ゆず釜」には、同市特産「北限のゆず」を使用し、野菜や海産物も地場産品を多く使うなど地産地消にこだわった。
 注文は市内のほか、大船渡市、住田町からも受け付けた。熊谷店主(46)は「物価高騰の中、毎年欠かさず注文をいただくリピーターの方も多く、本当にありがたいこと。その分少しでもおいしく味わっていただけるよう一品一品に思いを込めて作った。感想を言いながら食べていただきたい」と願いを込める。
 受け渡しは31日で、配達も行う。問い合わせは、同店(℡54・4433)へ。