2024気仙この一年/記者の取材ノートより――総集編  令和6年 きょう閉幕 震災13年 インフラ復旧完遂 なおも続く不漁や物価高騰

 令和6(2024)年も、きょうを残すのみ。東日本大震災から13年目となった今年は、国や県、気仙2市によるインフラ面の復旧・復興事業がゴールを迎え、大船渡市では土地区画整理事業区域内への出店が相次ぎ、陸前高田市ではホテルが着工するなど、新たな動きが見られた。スポーツでは、古里の星・佐々木朗希投手が夢の舞台である米大リーグへの挑戦を決め、児童・生徒の活躍も光った。一方で、不漁や物価高騰傾向は続き、住民生活に影響をもたらした。今年の気仙を月ごとの主なニュースで振り返る。(文中の年齢や肩書きは当時)

 

1 月
 ▽能登半島地震発生を受け、気仙でも被災地支援への動き相次ぐ
 ▽第49回東海社会文化賞に、画家として国内外で活躍し、長年にわたり気仙の洋画グループの指導者を務めるなど芸術文化の発展に寄与している熊谷睦男さん(89)=陸前高田市高田町=が決定
 ▽大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手=奥州市出身=が全国の小学校に贈ったグローブが、気仙3市町の学校にも届く


2 月
 ▽環境省が認定する「自然共生サイト」申請を見据え、同省などが住田町上有住五葉地区のモリアオガエル生息地を調査


3 月

 ▽東日本大震災から13年、気仙各地で追悼行事。大船渡市が大船渡町のみなと公園内に整備した東日本大震災追悼施設「祈りのモニュメント」の除幕式も
 ▽住田町が、昨年死去した音楽家・坂本龍一さんとのつながりを示す展示物をイコウェルすみたに設置
 ▽国、県、気仙両市が東日本大震災の発生を受けて進めてきたインフラ面での復旧・復興事業が完遂
 ▽令和6年4月に新設統合して「住田中学校」となる世田米中学校と有住中学校で閉校式
 ▽大船渡市三陸町越喜来の森林総合利用施設「遊・YOU・亭夏虫」が運営を終了
 ▽静岡大学理学部のルグラン・ジュリアン助教らの研究グループが、大船渡市日頃市町の「中里層」と呼ばれる古生代前期デボン紀の地層から日本最古の胞子化石群集を発見

市がみなと公園内に設けた「祈りのモニュメント」。東日本大震災13年を迎えた3月11日に除幕された=大船渡市


4 月

 ▽住田町の世田米中学校と有住中学校が統合し、「住田中学校」が開校
 ▽住田高校に県外からの「地域みらい留学生」2人が初入学
 ▽気仙両市がパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の運用開始
 ▽三陸鉄道が開業40周年を迎え、盛―久慈駅間で記念列車を運行
 ▽任期満了に伴う大船渡市議選(定数20)が昭和27年の市制施行以来初の無投票となり、現職16人、新人4人が当選
 ▽県立大船渡病院が大船渡市と住田町で県内初となる救命救急用「ドクターカー」の試験運行を開始 

 ▽住田町上有住の滝観洞観光センターがリニューアルオープン

4月に滝観洞観光センターが新築オープン。県内外からの来訪者でにぎわいをみせた=住田町

 

5 月
 ▽陸前高田市の奇跡の一本松ホール開館5周年記念で「NHKのど自慢」を公開生放送

 ▽陸前高田市の高田松原海水浴場が国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得

 ▽大船渡市三陸町越喜来の首崎で山林火災が発生し、出火から10日目で鎮火。約9㌶を焼いたが、人や建物の被害なし
 ▽県内に先駆け大船渡市で5歳児健診がスタート

県内で初めて国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した高田松原海水浴場=陸前高田市


6 月
 ▽住田町が平成23年度に創設した「東日本大震災復興基金」を廃止
 ▽陸前高田市の広田湾漁協と水産大手の㈱ニッスイが令和5年から試験的に海面養殖してきたサーモン(ギンザケ)の水揚げ始まる


7 月
 ▽大船渡市が盛町のサン・リア内に整備した市こども家庭センター「DACCO(だっこ)」が開所
 ▽「ケセンロックフェスティバル」が大船渡市大船渡町の夢海公園を会場に5年ぶりに開催される
 ▽住田町が不登校児童・生徒らの学校復帰などをサポートする「教育支援センター」を開設
 ▽陸前高田市と岩手大学、立教大学でつくる連携推進協議会が、旧高田東中校舎を活用して共同運営してきた陸前高田グローバルキャンパスを令和6年度末で閉所する方針を確認
 ▽大船渡市が三陸町の綾里、吉浜両地域振興出張所を令和8年3月末で廃止する方針示す

 

8 月
 ▽住田町初の子ども食堂「すみたのみんな食堂」(仮称)がプレオープン
 ▽台風5号が大船渡市付近に上陸。同市への上陸は平成28年8月以来2度目。各地で倒木などが相次いだが人的被害なし
 ▽陸前高田市で小中学校時代を過ごした菅野ブルースさん(21)がプロバスケットボールBリーグ1部の千葉ジェッツと特別指定選手としてプロ契約

 

9 月

 ▽パリ2024パラリンピックトライアスロン競技の男子PTVI(視覚障害)に、大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介さん(30)が競技パートナーとして出場
 ▽ビジネスホテルを全国展開する㈱共立メンテナンスが陸前高田市高田町の中心市街地で「ドーミーインEXPRESS陸前高田(仮称)」を着工
 ▽大船渡市が「こどもまんなか応援サポーター」として、子育てにやさしいまちの実現に向けた取り組みの推進を宣言。こども家庭庁提唱の「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同するもので、県内市町村第1号に
 ▽陸前高田市が環境省の「脱炭素先行地域」に選定される

 

10 月
 ▽大船渡市が末崎地区を中心としたデマンド交通実証実験運行スタート
 ▽大船渡市の一般社団法人大船渡地域戦略が気仙の団体として初めて観光庁から観光地域づくり法人に登録認定される
 ▽大船渡市で安全な災害救助の技術を競い合う「ロープレスキュー競技全国大会」開催
 ▽第50回衆議院議員選挙で、岩手2区は自民党の前職・鈴木俊一氏(71)=公明党推薦=が全23市町村で勝利し通算11選。同日投開票の参議院岩手選挙区補選は、立憲民主党の元職・木戸口英司氏(61)が新人4氏に圧勝して議席奪還
 ▽陸前高田市が高田町の民家1棟を「特定空き家」に初認定し、略式代執行による解体を開始


11 月
 ▽プロ野球・千葉ロッテマリーンズが佐々木朗希投手(23)=陸前高田市出身、大船渡高出=のポスティングによる米大リーグ挑戦を容認し、移籍に向けた手続きを開始すると公表
 ▽大船渡市猪川町の長谷寺が所蔵する「猪川観音長谷寺絵馬群」が岩手県有形文化財に指定される
 ▽全国椿サミット大船渡大会の開催日が令和8年3月14日、15日に決定

 

12 月
 ▽大船渡市魚市場へのサンマ水揚げ量(11月30日現在)が前年同期の約1・5倍となる5646㌧に。5000㌧突破は令和2年度以来で、全国では北海道の花咲に続く2位で本州トップを維持
 ▽大船渡市が東日本大震災の復興事業で実施した大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内の土地利活用率(11月30日現在)が過去最高の88・1%に上昇
 ▽陸前高田市で夢アリーナたかたを発着点とする「奇跡の一本松マラソン」が初開催される
 ▽大船渡市魚市場への秋サケ水揚げ量(12月20日現在)が前年同期比49・1%減の707匹と過去最低に