7年度に上部工着手へ 架け替え進む昭和橋 供用開始は当初の時期から延期

▲ 橋脚や護岸の整備が進む新橋

 県が住田町世田米の気仙川で進めている昭和橋の架け替え工事は、近く橋桁など上部工工事の一般競争入札が行われる。現在は橋脚と護岸の整備が進められており、令和7年度から上部工工事が始まる見込み。物価高騰の影響もあり、供用開始時期は当初予定の7年度末から延期されるが、県では一日も早い完成を目指して工事を進めていく。
 気仙川に架かる長さ73㍍の昭和橋は、昭和8年に架けられた。かつて宿場町として栄えた世田米商店街側と、町役場などがある川向地区を結ぶ。気仙川沿いに立ち並ぶ蔵並みと調和し、歴史や古き良きたたずまいを感じさせる景観を形成してきたが、県の治水対策の一環で架け替えられる。
 新しい橋は、鋼桁とコンクリートを合成したものを用いて建設。橋長は72㍍、幅員は7・8㍍。工事は気仙川の稚魚放流時期やアユ漁解禁期間を避けながら進められている。当初事業費は約11億円。
 旧橋の解体工事は令和4年11月に開始され、5年1月に撤去が完了。町役場側、商店街側それぞれの橋台は5年度中に完成した。
6年度に入ってからは、橋の中央部に設けられる橋脚などの下部工工事や、商店街側の護岸整備が進められてきた。7年度も護岸整備を行うとともに、上部工の工事に着手し、8年度には新橋周辺の取り付け道路の整備を行う。
 下部工工事は、稚魚放流時期を迎える今年6月までには完了する見込み。一方で、上部工工事は近年の物価上昇による資材価格高騰によって予算確保に時間を要したことから、当初は7年度末を予定していた新橋の供用開始が延期となる。詳細な完成時期は、今後の工事状況などを踏まえて発表する予定。
 県大船渡土木センター住田整備事務所では「早期完成に努めていくので、ご理解、ご協力いただければ」としている。
 旧橋の高欄に残っていた太平洋戦争の空襲で弾片が貫通したとされる穴や、橋名を記した親柱は新橋完成後にモニュメントとして設置する予定で、現在は世田米の町農林会館近くで保管されている。