PK奪取で日本一に貢献 東洋大FW・村上選手(陸前高田市出身) インカレサッカーでV

▲ 日本一のメダルを提げ、仲間と喜びの表情を見せる東洋大の村上選手㊨

 本年度の第73回全日本大学サッカー選手権大会(通称・インカレ)は昨年末、栃木県で決勝が行われ、東洋大が新潟医療福祉大を1―0で下して初優勝を飾った。陸前高田市高田町出身で、東洋大のFW・村上力己選手(3年、福島・尚志高卒)も先発出場し、決勝点となるPKを誘発するプレーで日本一に貢献。来年度が大学最後の一年となる中、「プロになるため、数字で結果を」と夢に向かってさらなるアピールを誓っている。(菅野弘大)


 インカレには、全国各地の出場権を得た28チームが出場。関東地区第3代表の東洋大は、予選ラウンドで札幌大学に5―2で勝利し、16チームで争う決勝ラウンドに進むと、グループリーグで1位となり、8チームでのノックアウトステージに進出した。
 村上選手は、準々決勝から決勝までの3試合でFWとしてスタメンに名を連ね、前線からの献身的なプレッシングや鋭い出足からのボール奪取、攻撃の起点となるポストプレーなど、与えられた役割をこなしながら存在感を発揮した。
 決勝では前半39分、相手DFの隙を突いてボールを奪ってペナルティーエリア内に侵入すると、GKと1対1になった場面で交錯。これがPKの判定となり、貴重な先制点につながるプレーでチームに貢献した。「GKのポジショニングが良く、後ろからDFも来ていて、すぐにシュートは打たず、ドリブルで運んだ。GKをかわそうとしてうまく抜けなかったが、結果PKにつながって良かった」と振り返った。
 後半25分に途中交代となり、日本一の瞬間はベンチで迎えた。「1―0ではあったが、試合を通じてずっと押し込む展開で、心配なく仲間のプレーを見守っていた。優勝した瞬間はめちゃくちゃうれしかったし、しばらく仲間と余韻に浸っていた」と喜びを口にした。
 2人の兄の姿を見て、小学1年でサッカーを始めた村上選手。大船渡市のFCサン・アルタス大船渡から、盛岡市のクラブチーム・MIRUMAE・FCU―15に進み、高校は強豪の尚志で技術を磨いた。令和3年度の全国高校選手権にもレギュラーとして出場した。
 東洋大では、2年次から出場機会を得たが、その年の10月に足首の靱帯を断裂する大けがを負い、「試合に出られず、悔しい思いをした」。3年次の今シーズンは、序盤から得点を決めるなど結果を残していたが、夏に左足ハムストリングの肉離れで離脱。11月中旬の関東大学サッカーリーグ1部の最終節・国士舘大戦で戦列復帰したものの、「なかなかコンディションが上がらなかった」とインカレでは再びメンバー外が続いた。
 しかし、4年生の負傷離脱もあって、インカレ準々決勝から出番が巡ってきた。「チャンスをつかんで自分の全力を出せたと思うし、何より日本一で終われて良かった。大学サッカーもラスト1年。プロになりたい気持ちがあるので、FWとして得点という数字で結果を残したい」を力を込める。
 応援してくれる家族の存在も、村上選手が走り続ける原動力だ。「インカレで優勝して、家族はもちろん、さまざまなところから祝福のメッセージが届き、多くの方々に支えられていることを実感した。自分は好きなことをやらせてもらっているので、家族に恩返しをするためにも、さらに頑張りたい」と飛躍を誓う。