宝探し感覚で周遊促進 3月11日まで「復興の道を歩む旅」 三陸町巡る体験型イベント
令和7年1月12日付 1面

大船渡市は3月11日(火)まで、新規集客確保事業として体験型イベント「大船渡宝探し~復興の道を歩む旅~」を行っている。スマートフォンなどで入手できるクイズに答えながら、三陸町の観光スポットなどにある「手がかり」を集めるなど宝探しの感覚で周遊を促す。東日本大震災から14年を迎える中、変化を続ける〝三陸の今〟に触れてもらう機会をつくり、さらなる誘客促進につなげる。 (佐藤 壮)

ポスターなどで参加をアピール
同事業は、市内外の人々に三陸町内を気軽に楽しみながら周遊できる機会の創出を見据える。宮城県東松島市に構え、旧小学校を改修した防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」などを運営する貴凛庁㈱(三井紀代子代表取締役)に事業を委託している。
今月8日に始まり、3月11日まで開催する体験型イベントは、震災から14年を迎える中、地元内外から訪れた人々が地域の魅力を再発見するとともに、復興への思いを共有しようと市が初めて企画。東松島でも好評を博した「宝探しイベント」のノウハウを生かしているという。
特設サイトに掲載された問題を解き、町内各地に隠されている「手がかり」「メッセージ」を集める。参加費は無料。すべてクリアした中から、抽選で10人に特産品を贈る。
各地のつながりを見いだし、解き明かす楽しさとともに、地域を代表する施設や観光スポットに足を運ぶことで、その場所に込められた人々や団体の震災復興への思いなどにも触れる内容。乗用車で各地を回る場合、2~3時間が想定されるという。
三陸町は震災で多くの住家や建物、公共施設が被災した一方、独自性が光る復旧・復興事業が展開されてきた。このうち、越喜来地区では、旧甫嶺小施設が簡易宿泊機能を備えた甫嶺復興交流推進センターとなり、グラウンドは東北を代表するBMXコースに生まれ変わった。
また、みちのく潮風トレイル全線開通前年の平成30年、三陸鉄道・三陸駅前では仮設店舗のプレハブ施設などを生かし、震災伝承施設「潮目」が再建された。廃材を生かしたカラフルな外観が目を引き、今では国内外のハイカーが集い、地域住民らとの交流が広がる空間として知られる。
浦浜地区緑地広場に立つ「ど根性ポプラ」は高さ約25㍍で、東日本大震災津波にも耐えた同地域の復興のシンボル。近年は住民組織の越喜来活性化協議会環境部会がイルミネーションを冬場に行っている。
その周囲では、民間企業による大規模なトマト生産に向けた温室設備設置工事が進む。被災した低地部の利活用を生かした復興展開だけでなく、新たな産業創出や持続可能なまちづくりに向けた雇用の確保など、行政や経済分野などからの期待は大きい。 市は各地にポスターを張り出すなどして、周知に力を入れる。事業を担当する産業政策室では「観光客はもちろん、市内の方々にも参加してほしい。新たな魅力発見や誘客促進につながれば」と期待を込める。
イベント参加は特設サイト(別掲QRコード)で受け付ける。問い合わせは運営事務局のKIBOTCHA(℡0225・25・7319)へ。