アユ種苗の出荷スタート 県栽培漁業協会 約380万匹の生産計画(別写真あり)

▲ アユ種苗の出荷作業にあたる職員ら

 大船渡市末崎町の一般社団法人県栽培漁業協会は14日、アユ種苗を本年度初出荷した。同日は同市の盛川漁協(佐藤由也組合長)に15万匹を移送。作業にあたった関係者らは、今後のさらなる成長を願いながら、夏の到来を告げる各河川でのアユ漁のにぎわいに期待を込めた。
 アユはふ化後の仔稚魚期を海で過ごし、川を遡上する両側回遊魚。種苗生産では、稚魚を海水飼育できる施設で一定の大きさまで育て、淡水で飼育する各地の中間育成場に移す手法で行われており、同協会では毎年この時期にアユの種苗を出荷している。
 今回出荷した種苗も、盛川漁協で養成した親魚から昨年9月下旬~10月中旬に採卵し、同協会でふ化後飼育してきた。淡水から成長に合わせて海水の割合を高め、平均体重0・5~0・7㌘、体長は約6㌢に育てた。
 かつては12月下旬ごろから出荷が始まっていたが、温暖化による水温の上昇によって採卵時期が後ろ倒しとなり、近年は1月上旬~中旬の出荷に。冷却器などを駆使しながら管理を徹底し、今季は2月末までに約380万匹を生産する予定。中間育成場を持つ盛川漁協や南部馬淵川漁協、直接放流する気仙川漁協などに出荷し、種苗は5〜6月まで育てられた後、各河川に放流される。
 この日の作業では、職員が水槽に入った稚魚をすくって計量し、慎重にトラックに移した。作業を見守った同協会の山口浩史専務理事は「高水温の影響もありながら、ここまで大きく育ててきた。水温が高いと歩留まりが悪いが、成長はいい。中間育成でさらに大きくなってくれれば」と願いを込めた。
 夏場の川釣りで人気の高いアユ。盛川漁協では昨年、一般の釣り客が釣った盛川の活アユを買い取る取り組みを実施。県の「川魚を活用した内水面の魅力再発見事業」の一環で、組合員の収入増加や地域経済への循環、新たな観光資源の創出のほか、市場に流通していない〝天然もの〟の消費機会確保、内水面漁業の振興にもつなげようとの試みで、合計21・84㌔を買い取った。
 買い取った釣りアユは、市内の飲食店に販売したほか、市産業まつりで塩焼きとして提供し、好評を博した。