現場での実用性確認 ㈱Rootが農林業補助アプリ体験会 今月31日までCFも

▲ アプリの機能を確認する参加者

 農業DX開発事業を手がける㈱Root(本社・神奈川県、岸圭介代表取締役)が開発・提供している農林業作業補助アプリ「Agri─AR」の体験会が17日、住田町内で開かれた。昨年までは農作業補助がメイン機能となっていたが、現在は林業補助機能の拡張を進めており、体験会に参加した町内外の農林業関係者が実用性などを確認した。       (清水辰彦)

 同社では、農作業の効率化を実現するため、農林水産省の予算支援を受けて令和4年4月からアプリの開発を進めてきた。アプリ・サービスは昨年4月に公開・販売を開始。AR(拡張現実)技術を活用し、現実空間への直線や畝などのガイドの配置、サイズ・距離・面積・体積などの各種計測、仮想の看板を現実空間に配置し位置情報とあわせて保存できる「空間マッピング」などの機能が利用できる。
 昨年、同町下有住の農林業・平林慧遠さん(39)が知人農家からアプリを紹介され、その実用性の高さを感じたことから、農作業、林業の省力化・効率化のために町内でも普及させたいとの思いで10月にアプリの体験会を開催。その際に応用性の高さを感じた平林さんが、林業分野での活用を岸代表取締役に提案した。
 同社ではこの提案も受けて機能拡張に着手。現在、林業向けに追加されている機能は、間伐などの事業地の面積を算定するための「周囲測量」、一定範囲内の樹木数やサイズの計測を行い、対象範囲の数値を推定調査する「標準値調査」の二つ。
 17日の体験会は世田米の生活改善センターやその周辺で実施。実際にアプリを使って町役場付近の面積を測量し、使い方やその精度を確認した。出席者からは「使いやすい」といった評価のほか、「音声でも操作できれば」といった改良案も上がり、今後も現場の声を反映させながら利便性向上などを図っていく予定。
 平林さんは、「通常2人でやっていた作業が1人でも可能となることや、高額な機器の導入が必要ではなくなることで、全国の森林組合等、われわれ現場の人間にとって革新的な一歩になると思っている」と期待を込める。
 機能拡張にあたっては、クラウドファンディングを実施しており、今月31日(金)まで支援を募っている。目標金額は100万円で、支援のリターンで、通常よりも安価でアプリを利用できる。