事業革新のプランなど発表 大高生らがイノベーションピッチ 「大船渡学」の学びに基づき(別写真あり)
令和7年1月21日付 7面
㈱キャッセン大船渡とNPO法人おおふなと市民活動センターによる「キャッセンイノベーションピッチ」は18日、大船渡市大船渡町のライブハウス・KESEN ROCK FREAKSで開かれた。県立大船渡高校(石井美樹子校長)の生徒が、同校の探究学習「大船渡学」を通して学び、そこから練り上げた「地域事業所を後押しするプラン」の数々を発表。その実現へ向けた協力も聴衆に呼びかけた。
「ピッチ」とは、あるアイデアやサービス等について理解してもらい、興味を引き出すための短いプレゼンテーションのこと。この日は、数人ずつで構成された全10グループが、市内16の企業・団体等の事業と活動に革新性を加え、より魅力的なものとするための企画について5分程度でそれぞれ発表した。
プレゼン内容は、同校が独自に取り組む総合的な探究の時間「大船渡学」において昨年12月、1、2年生の混合チームが市内16事業所から仕事のやりがい・現状の課題などについて聞いたり、業務を体験するなどしたうえで考案したもの。郷土芸能や体験型観光を取り入れた地域振興策、リンゴの搾りカスに付加価値をつけて利用する「アップサイクル」の取り組み、若者が新聞に親しむための手法、キャッセンエリアの事業所に人を招くアイデアなどを提案した。
また、この日は過去にピッチを行った同校2年の山下夏海さんと、同市日頃市町出身で盛岡市在住の会社員・新沼滉さん(29)が、プロジェクトの現状や、継続しているアクションについて報告した。
「LGBTQ+」にまつわる読書会を開催する山下さんは、「大船渡に安心して話せる場をつくることができた」とし、仙台や盛岡にもつながりが広がったことなどを成果として発表。
また、古里の自然と営みを守る手法として「里山リノベ」構想を掲げる新沼さんは、「地域再生へ向けた担い手を増やし、地元を元気にしたい」と情熱を語った。2人はいずれも、アイデアは1回実践して終わりではなく、持続してこそ意味があることも伝えた。
イベントのコメンテーターを務めた北原啓司弘前大学特任教授は、「『最初の一歩』を踏み出すことがまず大事だが、難しいのは『次の一歩』。ぜひここで出たアイデアにどこかでトライしてもらい、皆さんの『次の一歩』を見せてもらえたら」と述べ、参加者を激励。プロジェクトが実現に結びつくことを願った。