インタビュー気仙2025ー③住田観光開発㈱代表取締役専務・千葉孝文さん(46) 〝滝観洞観光エリア〟構築を

 ──昨年4月末、滝観洞観光センターがリニューアルオープンし、指定管理者を務めている。滝観洞の入洞状況や新施設利用の手応えはどうか。
 千葉 施設が3月末に完成し、準備期間が1カ月ない中で不安も抱えてのスタートだったが、オープン後、5月の大型連休にかけて本当にたくさんの方に来ていただけた。連休中には一日700人ほどご案内できた日もあり、1日当たりの入洞者としては今までにないぐらいの人数だった。
 その後、お盆期間までお客さまが途切れない状況が続いて、10月には東日本大震災後としては最多となる入洞者1万5000人も達成した。たくさんのお客さまに楽しんでもらえて本当によかった。
 新施設はお年寄りや子ども連れでも利用しやすいし、オールジェンダー用のトイレもあるので、誰でも快適に過ごしてもらえるようになっている。滝観洞名物の「滝流しそば」は本年度、3700食以上提供することができた。新たな名物として考案した、鍾乳洞の岩に模したご飯にカレーを流しかける「滝流しカレー」も好評だった。
 昨年は、県と市町村、観光関係団体などで組織する「いわて観光キャンペーン推進協議会」がJR東日本の重点販売地域の指定を受けて「いわて秋旅キャンペーン」を展開し、首都圏に滝観洞のポスターを掲示するなどしてもらった。それにより、鉄道を利用して訪れるお客さまも多かった。
 ──リニューアルオープン後、指定管理者として特に力を入れて取り組んできたことは。
 千葉 オープン年ということで、PRに力を入れてきた。全国各地で観光業に力を入れている中、数ある観光地の中から滝観洞を選んでもらえるように意識した。
 例年は5月、8月のイベントに合わせてPRする程度だったが、今回は毎月、テレビなどに滝観洞が映るように計画し、多くの人の目に留まるようにした。それにより、今までは来訪者の割合が県外7割、県内3割ほどだったが、県内、特に盛岡市からのお客さまが増えて、「今まで知らなかった」「こんないい場所なのに、なぜ今までもっと宣伝しなかったのか」という声もいただいた。
 昨年度は、観光庁から「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の採択を受けて、本格的なケイビング(洞窟探検)体験を楽しめる新たなガイドコースも公開し、ホームページの多言語対応も行った。積極的なPRに加えて、そうした取り組みもあって入洞者が増加し、リピーターの獲得にもつながっている。
 ──国内では外国人観光客が増加してインバウンド消費が活発になっている。滝観洞の外国人の入り込み状況は。
 千葉 中華圏、東南アジアからの来訪が増えていると感じるし、欧米の方も以前より多い。以前は多くても年に70人~80人ほどだったが、本年度は現時点で200人以上が来ている。
 また、大船渡市と住田町が締結した定住自立圏構想に基づいて、一昨年、大船渡市の事業所関係者とともに台湾を訪問して東北旅行促進に向けたPRイベント「日本東北遊楽日2023」に参加した。その際につながった台湾側の旅行代理業から、昨年は3件60人ほど誘客していただいた。
 ──間もなくリニューアルから2年目を迎える。どのような施設を目指すか。
 千葉 滝観洞周辺エリアの自然を生かしたアクティビティも考えており、気仙川や周囲の空きスペースなど、自然を生かした新たな楽しみ方を模索しているところ。周辺地域とも広域的に連携しながら、長時間、滞在してもらえるような場所にしたい。
 本年度はオープン効果が大きかったが、来年度は最低でも入洞者1万5000人をキープし、それ以上を目指したい。新施設の利用も増えるような取り組みを展開していきたい。(聞き手・清水辰彦)