県立大船渡病院のドクターカー 陸前高田でも運行へ 2月10日から実施 大船渡、住田で先行導入

 県立大船渡病院が昨年4月から、大船渡市、住田町内で運行している「ドクターカー」の対象エリアが、陸前高田市まで拡大されることとなった。119番通報があった際に、必要に応じて医師や看護師が患者のもとに出向くもので、病院に到着してから診療を始めるより早期に医療介入できるため救命率の向上が期待される仕組み。同市内での運用は、2月10日(月)からを予定している。
 ドクターカーは、緊急度や重症度の高い傷病者を病院外で診療するため、必要な医療機器や医薬品などを積載し、医師が搭乗する緊急自動車。事故や病気などで呼吸困難、大量出血の継続といった基準に合致した症例がある場合に、消防機関からの要請を受けて出動する。
 医師らは、あらかじめ定めている「ドッキングポイント」や発生現場で救急隊と合流。その後、救急車に同乗して診療を行う流れとなっている。
 大船渡地区消防組合管内の大船渡市、住田町では県内に先駆け、昨年4月に運行を開始。同年11月末までの出動件数は110件(陸前高田市消防本部調べ)で、診療開始までの時間は運行前対比で平均約12分の短縮となった。
 陸前高田市における運行日は、月~金曜日午前9時~午後5時。ドッキングポイントは公共施設やコンビニエンスストアなどの48カ所を予定しており、市内8町すべてに置く。
 市消防本部によると、昨年1~12月の救急搬送者数は990人。このうち、県立大船渡病院に搬送したのは923人と全体の93・2%を占める。
 同院と同本部は29日(水)、ドクターカーの運行訓練を行い、課題を探る。
 同本部の菅野泰浩消防長は「運行拡大されることを大変うれしく思う。訓練では連携などの点で問題点がないか検証し、救命率向上が期待される運行につなげたい」と見据える。
 ドクターカー運用イメージは別掲。