障害や多様性に理解深めて 中学校でワークショップ 〝異彩〟発信のヘラルボニー(別写真あり)

▲ 障害を疑似体験しながらゲームを進める生徒ら

 「異彩を、放て。」をミッションとして掲げ、障害者アーティストの作品販売などを手掛ける㈱ヘラルボニー(本社・盛岡市)によるワークショップが28、29の両日、陸前高田市の2中学校で開かれた。生徒らは同社スタッフによる講話やゲームを通じ、障害や多様な考え方についての理解を深めた。(阿部仁志)


 同市では、障害の有無にかかわらず誰もが相互に理解し合い、思いやりの心を持って共生できるまちづくりを推進。ワークショップはこの一環で、市と学校が企画した。
 高田第一中学校(佐藤学校長、生徒173人)では28日、2年生を対象に開催。前半は、ヘラルボニー社員で同校卒業生の丹野晋太郎さん(29)が講話。同社の成り立ちや、同市を含む全国約240人の作家と契約し、幅広く商品展開していることなどを説明した。
 丹野さんは、「〝欠落〟や〝安い〟といった社会に根付く障害のイメージをアートで変えたい」「できないことをできるようにするのではなく、できることにお金の文脈をつけることを目指す」と同社の理念を紹介。中学3年生だった東日本大震災当時からの自身の歩みにも触れながら、「自分ができることで人や社会に貢献していきたい」と思いを語った。
 続いて、同社社員で聴覚障害者の菊永ふみさんが講師となり、他者と自分の〝違い〟を感じ取るカードゲームを展開。グループに分かれた生徒らが、「見えにくい」「手が使えない」などの役を担当して挑んだ。
 障害を疑似体験する道具を身につけた一部の生徒らは、それぞれの〝苦手〟をグループ内で共有し、「どうしたらみんなで楽しくゲームができるか」と考えを巡らせた。声でカードの内容を教えたり、手を貸したりと、より良い方法を見つけようと知恵を絞った。
 佐々木玲奈さん(2年)は「障害のある人の描いた絵が、服や家具などの製品になっているという話が印象的だった。自分には考えつかないような発想をする人がいることも知った」と視野を広げた様子だった。
 丹野さんは「地方について『選択肢がない』と感じている人が、見方を変えて、『こういった世界がある』『こういうことも仕事になる』と気づくきっかけになれば」と話していた。
 29日は、高田東中でもワークショップが開かれた。