「AIオンデマンド」導入を検討 7年度下半期に実証実験計画 地域公共交通の利便性向上へ

 陸前高田市は、人工知能(AI)を活用し、効率的な配車と最適なルート選択を可能にする乗り合い型の交通サービス「AIオンデマンド交通」の導入を検討している。まずは令和7年度下半期にワンボックス車を使い、市内の一部地域で実証実験を実施する構想。その後、課題と成果を整理・分析したうえでの実装を見据えている。同様のサービスは県内外で徐々に広がっており、同市でも取り入れ、地域公共交通の利便性向上を図っていく。(高橋 信)

 

 AIオンデマンド交通は、時刻表や決まった経路はなく、予約状況などに応じてAIが選んだ最適ルートを走るサービス。スマートフォンのアプリやコールセンターへの電話で配車予約を受けて運行する。乗降場所を多く設定できるため、既存の路線バス停留所よりも自宅に近い場所で乗り降り可能となり、利用者の利便性向上、輸送コストの低減、交通空白区解消などが期待される。
 実証実験は、市西部の循環バス「たかたコミュニティバス西部線」沿線などの高田町、気仙町、竹駒町、矢作町内の一部地域で実施する計画。西部線は運行ルートが複雑なうえ、他路線と比べて乗客数が低調なため、デジタル技術を取り入れることで改善が図られるかテストする。
 車両は乗客定員9人乗りの1台を使う想定。車両にはタブレット端末を配備し、乗降場所やルートを確認できるようにする。
 実験の間は西部線の運行を休止する。実施期間や運行時間などの詳細は未定で、実験対象者には市民のほか、市外からの観光客も含める方向で検討している。
 市は実験後、早ければ7年度内に本格導入したい考え。利用状況やニーズを見ながら、8年度以降、運行エリアの順次拡大を視野に入れる。
 市は6年3月、市地域公共交通計画(6~10年度)を策定。日常生活で「頼りになる」地域公共交通の実現などを基本方針に掲げており、この中でAIオンデマンド交通の導入を盛り込んでいる。
 また、市は観光資源の一つとしての移動手段導入も検討しており、高田松原津波復興祈念公園内では市観光物産協会との共同で、パークガイドが同乗する電動カートの運行実験に取り組んでいる。3月末まで週末を中心に走らせており、7年度から本格運行する。
 市市民協働部の村上幸司部長は「高齢化が進む中で、持続可能な公共交通ネットワーク構築は当市の重要な課題だ。実証実験を利用者における利便性向上への足がかりとするため、引き続き検討を進め、実装へとつなげたい」と見据える。
 AIオンデマンド交通の運用イメージは別掲。