エリア拡大前に流れを確認 大船渡病院と市消防本部 ドクターカー運行訓練(別写真あり)

▲ 陸前高田市内でのドクターカー運行を前に訓練を展開

 県立大船渡病院(中野達也院長)が大船渡市と住田町で運行する救命救急用「ドクターカー」が、2月10日(月)から陸前高田市内にもエリアを拡大する。これを前にした今月29日、同院救命救急センター(横沢友樹センター長)と同市消防本部(菅野泰浩消防長)による訓練が行われ、関係者らが流れを確認した。
 ドクターカーは、緊急度、重症度の高い患者を病院外で診療するため、必要な医療機器や医薬品などを積み、医師が搭乗する緊急自動車。同院では患者搬送をせず、医師、看護師、治療に必要な医療機器と医薬品を現場に派遣する「ラピッド・ドクターカー方針」のもと、昨年4月に大船渡、住田両市町で試験運行を開始した。両市町で医師らが患者を診察するまでの平均時間は、開始前に比べて約3割短縮されたという。
 かねて陸前高田市内での運行も見据え、関係機関では準備を進めてきた。今回の訓練は、運行前に病院と消防の連携体制構築を図ろうと行われ、同センターや市消防本部、視察に訪れた釜石市と大槌町の消防、行政の関係者ら約50人が参加した。
 訓練は、竹駒町内で60代男性が胸痛や息苦しさを訴える通報があったとして、1回目は意識がある場合を、2回目は意識がない場合を想定して行った。
 このうち、1回目は消防指令センターからの出動要請に応じ、救命救急センターから出動したドクターカーが指定のドッキングポイントで救急車と合流。医師や看護師が救急車に乗り込んで患者を処置しながら、仮想の病院まで搬送する流れを実践した。
 参加者らは訓練ごとに振り返りを行い、課題や改善点などを共有。「2件同時に救急要請があり、どちらもドクターカーの出動が必要な場合の対応は」「大船渡での運行で困ったことはないか」「もし連絡がつかないときには、最初のドッキングポイントで合流するとルールを決めておこう」などと質問や提案を行い、運行への備えとした。
 菅野消防長は「大船渡市、住田町に続き、本市で運行が開始されることを大変うれしく思う。訓練を重ね、運行に当たっては救命率の向上を目指し、万全を期していきたい」と力を込めた。
 横沢センター長は「病院から出動先の距離が遠い方が診察までの時間短縮につながり、陸前高田市ではその効果は大きいと思われる。消防など関係機関との顔の見える関係を生かし、取り組んでいきたい」と話していた。
 同市におけるドクターカーの出動は、来月10日以降の月~金曜日、午前9時~午後5時に、要請に応じて行う。ドッキングポイントは市内8町に48カ所を開設予定。消防指令センターからの要請に応じるもので、住民からの直接要請は対象外となる。