増加傾向 対策徹底を 声かけ事案、クマ出没で情報共有 地域ぐるみ学校安全体制整備研修会

▲ 増加傾向にある声かけ事案、クマ出没の各対策について研修

 大船渡市教育委員会による令和6年度地域ぐるみ学校安全体制整備に向けた研修会は30日、盛町のシーパル大船渡で開かれた。小中学生の登下校を見守るスクールガードらが参加し、近年増加している声かけ事案やクマ出没の状況、対策を学んだ。情報共有や連携の大切さも再確認しながら、今後の充実した活動を誓い合った。(佐藤 壮)

 

 この研修会は、情報提供・情報交換を通じて地域ぐるみでの学校安全対策推進につなげようと毎年開催。市内のスクールガードリーダーやスクールガード、学校関係者ら20人が参加した。
 冒頭、市教委学校教育課の佐藤和生課長は「スクールガードの皆さんが暑い中、寒い中でも寄り添って活動していることで、大きな事故がなく子どもたちも過ごしている。今回の研修会が、子どもを守る一助になれば」とあいさつ。声かけ事案に関しては大船渡警察署の早野洋平生活安全課長、クマの出没状況については市職員が説明した。
 早野課長は、大船渡署管内の刑法犯認知件数は令和3年までは減り、4年度から増えている傾向を指摘。高校生以下に対する声かけ事案などの「脅威事犯」に関しては、同4、5年は1桁だったのが、昨年は20件を超えた状況を示した。
 県内全体のデータから「下校時間帯に住宅街の道路上で声かけ・つきまとい・容姿撮影等の被害を受けるケースが多い」と説明。見守り活動の留意点として▽子どもや行き交う人々にあいさつを▽道路で見守り活動を行う場合は、互いに見えやすい場所にするなど工夫を▽最近の犯罪等の発生状況について情報入手を▽警察や学校、各ボランティア団体との連携──を挙げ、具体的な行動も示しながらアドバイスした。
 市内におけるクマの目撃件数は4年度が48件だったのが、5年度は119件にまで増えた。6年度は昨年12月までで112件と、ほぼ同じペースで推移。5年度、6年度はいずれも、6月だけで40件超に上った。5年度は冬眠に入るとされる1~3月にも目撃が複数あり、年間を通じて注意が必要な状況となっている。
 通学中に関しては、ラジオなど音の出るものを携帯し、自分の存在を示す行動の大切さや、特にクマの行動が活発になる早朝、夕方には周囲に注意を払う行動も確認。森林や斜面地などに隣接する場所はクマの出没ルートになりやすく、市側は可能な限り複数で動くよう求めた。
 また、クマが近くにいることに気づいた場合として「落ち着いてクマに背を向けず、ゆっくりその場から離れる」「大声を出したり、走って逃げ出したりしない」「子グマを見ても、近くに親グマがいるため近づかない」なども呼びかけた。
 クマスプレーの操作方法や、突進してきた場合の対応も学習。目撃時には市農林課や大船渡署に連絡し、地域全体で警戒する大切さにも理解を深めた。
 出席者は終始熱心な表情で聴講。後半の意見交換では、スクールガードからスクールバス路線で倒木の危険性がある区間が話題となるなど、幅広い角度から安全確保に向けて情報共有を図った。
 スクールガードリーダーを務める赤崎町の三浦幸雄さん(76)は「状況によってはクマに遭遇することも考え、ラジオやホイッスルを携行している。対策を万全にして子どもたちを守らなければ」と話していた。