「空き家」からまちづくりを 東高食物文化科1年 リノベーション策を発表(別写真あり)
令和7年2月5日付 7面
大船渡市立根町の県立大船渡東高校(宇夫方聰校長、生徒209人)で4日、食物文化科1年生18人による「アキリノ(空き家リノベーション)プロジェクト発表会」が開かれた。生徒らはグループごとに、人口減少や少子高齢化などの地域課題を踏まえ、市の空き家バンクに登録されている建物を改修して住民交流、にぎわい創出などを図るアイデアを発表。柔軟な発想力を生かした内容にするとともに、地域のために自身ができることが何かを考える力も養った。(三浦佳恵)
発表会は、同科で学ぶ教科「生活産業基礎」の授業で実施。市の課題でもある空き家に着目し、生徒らが大船渡をより魅力的なまちにするための活用方法を検討しようと、昨年11月から4班によるグループ学習などを進めてきた。
取り組みの中では、市の空き家バンクから各班が考える改修、利用のあり方に合った建物を選定。先月23日には、市地域おこし協力隊の木﨑和也さん(30)を講師に招いて地域の魅力などを教わり、発表内容の磨き上げを図った。
学びの集大成でもある発表会には、助言者として木﨑さんがオンラインで臨んだほか、市産業政策室の職員2人が出席。1班から順に発表を行った。
各班は、▽課題把握▽テーマ決定▽空き家選定▽計画▽実施、提案▽反省・評価──の流れで、空き家活用のアイデアを提案。
娯楽施設と雇用促進を図る「カラオケ付き飲食店」、廃棄される未利用魚の活用も視野に入れた「保護猫カフェ」、高校生が小学生に勉強を教える学習スペースと駄菓子屋を併設した「和みの学び舎」、児童・生徒の居場所として子ども食堂などができ、大人が集う居酒屋にもなる「『ただいま』が広がる空間」と、多彩な空き家活用策を示した。
そのうえで、「大船渡には人口減少や少子高齢化関連の問題が多すぎると思うので、学校の活動などで少しでも関わっていきたい」「空き家を利用した店舗が増え、市や他地域がさらに活性化してほしい」などと、学びの成果をまとめた。
生徒らは互いの発表に耳を傾け、用意された評価表に感想などを記入。質問や感想なども寄せた。
発表終了後には、木﨑さんや市職員らが講評。木﨑さんは「どの発表も、大船渡の課題からどのようなものが必要かを考えていた。地域貢献が無料でできればいいが、それでは貢献する方がもたなくなる。どのように金を稼ぎ、生活しながらできるかを具体的に考えると、もっといいプランになると思う」とアドバイスを送った。
生徒たちはこうした助言も参考に、地域の未来や自分たちでできることが何かを考えていた。
菊池真由さんは「少し緊張したが、今考えている大船渡の課題、改善策を伝えられてよかった。小さい子がいても共働きの家が多い中、学校から大人や地域の人が集まる場に帰って来て、安心できる空間をつくりたいと思った。いつか実現できたらと思う」と話していた。