現地視点で動向紹介 観光物産協会インバウンドセミナー 台湾拠点の向井さん講演

▲ 台湾現地の情報を交えながら分かりやすく説明する向井さん

 大船渡市観光物産協会(齊藤俊明会長)によるインバウンドセミナーは5日、盛町のカメリアホールで開かれた。台湾を拠点とする「向日遊顧問有限公司」の向井純代表が講演し、訪日客の視点からアドバイス。気仙への来訪増を見据え、旅行客の傾向に合わせた配慮や対応策を伝えた。
 いわて花巻空港や仙台空港では、台湾等のアジア諸地域から訪れる旅行者が増加傾向にある。台湾等の観光動向や、受け入れる際のポイントなどを学ぼうと企画し、市内外の観光関係者ら約30人が出席した。
 冒頭、同協会の近江学常務理事は「増加傾向にある今だからこそ、効率的な取り組みを実施すべき」とあいさつ。向井さんは「台湾からの報告」と題して講演した。
 東京出身の向井さんは幼少期から台湾で過ごし、観光プロモーション関連の業務などを経て、平成13年に現在の会社を設立。日本各地の自治体・企業等への「誘客仕掛け人」として、台湾・アジア圏の旅行団体と密接な関係を構築しながら、青森・岩手への定期便やチャーター便就航などにかかわる実績を持つ。
 台湾では人口約2300万人のうち約600万人が観光で日本を訪れている現状を示し、日本の地方部には団体旅行での来訪が多い傾向を指摘。個人客では、レンタカー利用が増えている状況も示した。
 台湾の祝祭日カレンダーも掲げ、毎年日にちが異なる旧正月休みや、6月後半~7月中旬に夏休みのピークを迎えるなど、日本と異なる旅行シーズンにも言及。連休も含めると春の花見、夏休み、秋の紅葉、冬の雪見商品に分別できるとし、「温泉」「グルメ」「日本文化体験」もキーワードに挙げた。
 また、4泊5日程度の滞在が多いことから、迎え入れる際のポイントとして、スーツケースの持ち運び対応や、同じような食事が続かない組み合わせなど細やかな配慮もアドバイス。台湾観光客の食習慣や文化にも触れ、受け入れ増や高評価につながる気くばりも紹介した。
 自身のSNSでの発信を示しながら「私自身も大船渡を知り、皆さんと一緒に何かをできれば」「『継続は力なり』。これは観光にも当てはまる。さらに相手を知らないといけない」とも語った。台湾の旅行代理店に出向いてのセールス活動を想定した情報提供もあり、出席者は終始熱心な表情で耳を傾けていた。