大阪万博で歩みと魅力発信を 5月の出展へ機運高める 復興庁が100日前イベント(別写真あり)

▲ 大阪万博での復興庁展示をPRする(左から)今井政務官、八重樫副知事、佐々木市長

 復興庁による「2025年大阪・関西万博展示100日前イベント」は11日、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内にある国営追悼・祈念施設セミナールームで開かれた。同庁が5月に万博会場で予定する展示内容の紹介、関連テーマにちなんだトークセッションなどを展開。来場者らは復興の歩みや岩手の魅力を再確認しながら、万博本番に向けて機運を高めた。(三浦佳恵)

 

各分野で活躍する4人を招いてのトークセッション

 大阪・関西万博は、4月13日(日)~10月13日(月)に大阪府大阪市の夢洲で開催。復興庁は5月19日(月)~24日(土)に、「つむぎ、つづける。~Build Back Better~」をコンセプトとした震災に関連する展示を行う。
 この中では、震災の実態、次の災害に備えたまちづくり、被災地の食・水産品の再生と発展、被災地発の最新技術などを紹介。万博会期中、会場内の東ゲートゾーンには震災に関するメッセージによって形作る「奇跡の一本松」のデジタルモニュメントが投影される。
 展示に先立つ100日前イベントは、岩手、宮城、福島各県で企画。岩手会場の復興祈念公園では展示やステージイベントが行われ、約90人が詰めかけた。
 ステージイベントでは冒頭、今井絵理子復興大臣政務官が「岩手、陸前高田に足を運んでもらうことが何より大事。万博での展示が来場者と岩手をつなぐきっかけになれば」とあいさつ。八重樫幸治県副知事と佐々木拓市長が祝辞を述べ、佐々木市長は「復興支援への感謝の思いを奇跡の一本松のモニュメントに託し、世界中に伝えていきたい」と誓いを込めた。
 万博での出展概要紹介などに続き、トークセッション「モノづくりを通した地域づくり」を実施。万博での展示テーマに掲げる「震災伝承」「食・水産」「最新技術」の各分野で活躍する県内の4人が登壇した。
 気仙からは、元正榮北日本水産㈱=大船渡市=で取締役営業部長を務める古川翔太さん、東日本大震災津波伝承館副館長の早坂寛さんが臨んだ。
 登壇者らは、復興に向けた歩みや、将来を見据えた挑戦などを紹介。アワビの陸上完全養殖事業に携わる古川さんは、震災後における販路確保の苦労や海水温上昇に伴う魚種の変化などを挙げ、「岩手がアワビの生産量日本一だと浸透させていくきっかけをつくっていきたい。『大船渡といえばアワビ』と全国に発信できれば」と展望を語った。
 早坂さんは、震災の事実や教訓、復興支援への感謝を発信する伝承館の役割を説明。「過去の災害を知ることで次の災害に備え、できることをして、命が助かるよう事実を伝えていく」などと述べ、震災を知らない世代への伝承にも意欲を示した。
 このほか、県内の高校生、大学生による招待状作成ワークショップ「TOHOKU MOMENT」や「地元学生のアイデア輝く、想いをつなぐ復興グルメ」の取り組み内容も披露。このうち、招待状は参加した生徒・学生らが知ってほしい岩手の魅力をパンフレットとしてまとめ、万博の来場者に発信する。
 ワークショップに参加した岩手大学1年の東田健志さんは、「知らない岩手の魅力をたくさん発見できたし、三陸の中でも大好きな陸前高田で招待状を紹介できてうれしかった」と話していた。
 来場者らは万博での展示に期待を膨らませるとともに、復興や地域の発展、活性化に向けた取り組みにも改めて理解を深めていた。