市営球場は「大規模改修」 市スポーツ施設整備基本計画の中間見直し案 赤崎地区にサッカーグラウンド増設
令和7年2月15日付 1面
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大船渡市は、令和10年度までを期間とするスポーツ施設整備基本計画の中間見直し案をまとめ、14日の市議会全員協議会で示した。昨年6月時から一部内容を変更したが、整備から60年が経過した末崎町の市営球場は大規模改修による長寿命化の方針は変えず、現地を中心に硬式野球の大会開催が可能な整備とする。赤崎地区多目的広場(赤崎町)には、サッカーグラウンドを増設する方針を示した。市民テニスコート(盛町)は増設を基本とするも「引き続き検討」とし、拡張規模や整備時期の記載がなくなった。(佐藤 壮)
同計画は、令和3年1月に策定。市民体育館は「長寿命化」「将来的な建替再整備について検討」を掲げ、市営球場は「建替再整備」としてきた。
昨年6月に示した見直し案では、建築から45年が経過した市民体育館は、設備充実や防災拠点機能も検討しながら60年の耐用年数を迎えるまでに「建替再整備」を目指す。一方、当初計画で掲げた市営球場の建替再整備は困難とし、大規模改修による長寿命化を進める内容となった。
現行計画と大きく方針が変わり、議会からは意見集約不足などの視点から厳しい指摘が続出。市当局は市スポーツ協会や赤崎、末崎両地区公民館などとの意見交換・打ち合わせを経て、新たな見直し内容を示した。
昨年6月の前回案との比較は、別掲の通り。市民体育館は既存施設を維持しながら、60年の耐用年数を踏まえた将来的な建替再整備による更新を見据え、防災拠点としての機能を兼ね備えた施設を目指す。後期計画中に施設・設備規模の詳細を検討する。
市営球場に関しては、令和5年度の利用者数が平成21年度と比較して約7割減となるなど、競技人口が減少する中で将来ニーズを見通す難しさに言及。料金収入や維持管理、多額に及ぶ建設費にも触れ「建替再整備の実施は困難であると言わざるを得ない」とまとめた。
建替再整備の概算事業費は、駐車場整備費などを除いても、約27億円と多額を要する。約10億円の大規模改修で、防球ネットや照明設備の改修などで機能性・利便性を高め、利用増を目指す。本年度で閉校する末崎中学校の校庭をサブグラウンドや駐車場として活用することも考えられるという。
長寿命化に当たっては、硬式野球の大会ができるよう整備する。10年度までの計画期間内で地質調査や整備内容・時期の詳細検討を行う。
赤崎地区多目的広場は、被災跡地土地利用計画で「スポーツ交流ゾーン」に位置付けられている。市営球場の建替再整備を行う場合、候補地の一つとなっていたが、地区関係者との意見交換では具体的な活用策として「サッカーグラウンドを」との意見が多く寄せられたという。
多目的広場に隣接する赤崎グラウンドは、市内スポーツ施設の中では市民体育館に次いで利用者数が多く、サッカーの大会やリーグ戦によっては日程重複で開催を断っているケースも見られる。県沿岸部のサッカー拠点としても知られる中、今後も利用増や交流人口の拡大が見込め、計画期間中の増設に向け赤崎地区と意見交換を行いながら検討を進める。
市民テニスコートの令和5年度利用者は平成21年度との比較で約7割減。陸前高田市の県立野外活動センターの開所や大船渡港茶屋前緑地テニスコートの災害復旧工事完了、第一中学校のテニスコート整備などを要因に挙げる。
一方、部活動地域移行の取り組みから、受け皿となる地域スポーツクラブによる利用増加が予想される。コート増設を基本としつつも増設の必要性や整備のあり方について、 現計画期間中の検討を継続。6月時では令和9年度の供用開始を目指すスケジュールだったが、今回の案ではなくなった。
市営球場を巡っては、市野球協会が今月、建替再整備の検討を求める要望書を提出した。この日の全員協議会では「良い案ではないか。サッカー場はぜひ増設を」との評価に加え、「市営球場は、大規模改修でも夢を持てる施設になるか。きちんと示さなければ」「早く進めてほしい。また計画が変わるのではないかという不安もある」などの意見が出た。
市は年度内の改訂に向け、今月下旬から見直し案への意見募集を行うことにしている。