「物価高騰で影響」80%超に 大船渡商議所会員事業所対象のアンケート調査 エネルギー支援や補助金要望強く

 大船渡市と大船渡商工会議所が昨年12月~今年1月に実施した同商議所会員事業所対象のアンケート調査で、「物価高騰で影響を受けている」との回答が80・2%を占めた。昨年9~10月の前回調査比では2・7ポイント増で、依然として苦境が続く現状が浮き彫りに。必要とされる支援策については燃料や電気など価格高騰に対する支援や、売り上げが減少している事業者への補助金・給付金が多数を占めた。(佐藤 壮)


 調査はコロナ禍や物価高騰などの影響が幅広い業種に及ぶ中、令和2年度から定期的に行っており、今回で通算19回目となった。本年度は物価高騰の影響を重点的に聞く内容としている。
 会議所の会員事業者から業種バランスを考慮し、600事業所を選定。308件の回答があり、回収率は51・3%だった。
 調査基準日を昨年12月末とし、前年同月の売り上げ状況を100とした場合の変化に関する質問=別掲図参照=では「減少」が58・4%で、前回調査から2・3ポイント低下した。「増加した」は27%で、前回調査比で2・9ポイント増えた。
 減少幅は「5%以上」が最多で14・9%。「10%以上」は13・6%、「15%以上」は6・2%、「20%以上」は9・4%、「30%以上」は7・5%、「50%以上」も6・8%に上った。
 「30%以上」「50%以上」と回答した割合を業種別に見ると、農林漁業と宿泊業が3分の1を占め、建設業が3割を超える。
 物価高騰で「影響を受けている」と答えたのは80・2%で、前回調査よりも2・7ポイント増加し、昨年4~5月以来の8割超えとなった。原材料・仕入れ価格や燃料価格、電気料金の各上昇に伴う利益圧迫を挙げる回答が多くを占めた。
 物価高騰などに伴うコスト増加分に対する価格転嫁では「全く転嫁できていない」が14・9%。「転嫁できたのは半分に満たない」は31・8%で「コストは増加しているが、経営判断として価格転嫁していない」は14・6%と、いずれも前回調査から目立った変動はなかった。
 今後懸念される影響(複数回答可)は「売り上げ・受注の停滞、不振」が68・5%で、次いで「原油・原材料等価格の上昇」が53・9%。「価格転嫁への対応」「資金繰りの悪化」が4割を超えた。
 必要とされる支援策(複数回答可)=同=では「エネルギー(燃料・電気・ガス)価格高騰に対する支援」が60・1%で最多。「売り上げ減少事業者への補助金・給付金」も50%と今回も高かった。「賃金の引き上げに対する支援」は38・3%で、「雇用維持支援」も19・8%と、いずれも前回よりも上昇した。
 エネルギー支援に関しては、農林漁業が100%に。運輸業が91・7%、飲食業が76・5%と高くなっている。
 昨年12月に可決された国の令和6年度補正予算には、総額1・1兆円の重点支援地方交付金が盛り込まれた。これを受け、各市町村では県などと歩調を合わせながら、地域の実情に合った支援策を展開することになり、大船渡市でも事業展開の行方が注目される。
 市は今回の調査結果などをもとに、地域経済や中小企業の状況を把握し、適切な支援などにつなげる方針。市商工課の鈴木宏延課長は「物価高騰の影響は、依然として続いている。国の交付金を有効に活用していきたい」と話す。