新ビジョン案巡り協議 住田町で大船渡・住田定住自立圏懇 図書館利用やILCで連携図る

▲ 7年度から5年間を期間とする第2期ビジョン案を巡り協議

 令和6年度第2回大船渡・住田定住自立圏共生ビジョン懇談会(会長・山本健県立大学総合政策学部教授、委員16人)は19日、住田町農林会館で開かれた。生活機能や結びつきの強化を見据えた7年度からの第2期共生ビジョン案を協議。案には図書館相互利用やILC誘致の各促進事業、入札参加資格申請受付システム共同運用などが新たに盛り込まれている。
 昨年9月以来の開催で、委員13人が出席。山本会長は「第2期案の具体的な内容について、さまざまな形でご提言、ご質問を」とあいさつ。協議では、事務局から第2期案が示された。
 定住自立圏は、一定の要件を満たした市(中心市)と近隣市町村が連携、協力し、必要な生活機能等を確保することで地域における定住の受け皿となるもの。大船渡市と住田町は、同市が生活機能の確保で中心的な役割を担う中心市となり、元年に定住自立圏形成協定を結んだ。
 共生ビジョンは、同協定に基づいて圏域全体の将来像や推進策についてまとめ、第1期は2~6年度の5年間。協定で規定した▽生活機能の強化▽結びつきやネットワークの強化▽圏域マネジメント能力の強化──の各視点から、医療、福祉、教育、産業振興、地域公共交通、地域内外の住民との交流・移住促進、圏域内市町の職員の交流などと各分野の事業を位置付け、計28の取り組みを盛り込んでいる。
 第2期案では、取り組みに関して5項目を見直して新たに3項目を追加し、計26項目となった。追加項目のうち、公共施設の利用促進の公共図書館等相互利用促進事業に関しては、これまで実施している大船渡市立図書館と住田町中央公民館図書室の相互貸借にとどまらず、各施設で開催するイベントなどの情報周知について相互利用を図る。
 ILC誘致促進事業では、第1期に盛り込んだグリーンILCのみならず関連するイベントや講座、各種会議などの情報を相互に共有し、参画・住民周知を行う。入札参加資格申請受付システム共同運用事業は陸前高田市とともに、手続きのデジタル化や事務効率化を図る。
 一方、第1期に登載された遊休農地活用事業や地球温暖化防止対策推進事業は、両市町の活用方法や目指すべき方向性、事情が異なるとし、連携や共同実施の見込みがないことなどから見送った。また「気軽な出会いの場創出事業」は行政が担うべき結婚支援のあり方を見直し、搭載は行わないとしている。
 委員からは広域観光の推進について「外国人観光客の入込客数が伸び、大船渡市だけでも昨年は2700人超。目標値(令和11年度)の3250人とあり、もっと大きく目指すべきではないか。予算額が下がっているのも気になる」との指摘も。当局は「これまで台湾への誘客を促進してきたが、本年度並みの予算枠を確保したい。8年度以降はトレイルハイカー送客実績を持つ営業活動を考えている」と述べた。
 協議ではこのほか、移住・定住事業や成年後見制度利用、住民のデジタル活用も話題に上った。第2期ビジョン案は、この日の議論を踏まえて再調整を図り、3月には両市町議会の全員協議会でも説明し、意見を求める。